mini記述:民法物権#7

動画内容は、下記の「ウェブテキスト版」と同一です。そのため、動画を視聴しないで、下記の「ウェブテキスト版」のみに取り組んで頂いても問題はありません。
なお、解説内容は「アザラシ式記述対策講座」のものとほぼ同一となります。

ミニ記述チャレンジ ウェブテキスト版

問題1

A所有の土地は、B所有の土地に隣接している。この場合にAが家屋建築のために、B所有土地に立ち入ろうとする場合、必要な範囲内でB所有土地の使用を請求できる。このとき、BがAに対して金銭を請求できるのはどのようなときで、どのような名目によるものか25文字程度で記述してください。

※不法行為、債務不履行などは考慮しないものとします。

正解例
Aの立ち入りで損害を受けたときは、償金を請求できる。(26文字)
【解説】
家屋の建築などで必要があれば、隣地に立ち入ることが権利として認められています。とはいえ、当たり前のことですが、さすがに家の中にまで入っていくことが当然に認められることはありません。
なお、Bは損害を受けたときに償金を請求することができるとされます。別テーマのところでも解説しましたが、ここでもやはり「賠償金」という用語は使われていません。Aは確かにBに損害を与えたかもしれませんが、その原因となった隣地への立ち入りは民法が認める正当な権利なのです。正当な権利を行使したことで生じた損害なので、Bは「損害賠償を請求」ではなく「償金を請求」することになるわけです。
賠償金と償金は、似ているけどもちょっと違うニュアンスで使われていることを知っておくと間違えることも減るはずです。

問題2

A所有の土地は、B所有の土地に隣接している。Aは境界標の調査のためにB所有土地に立ち入ろうとしているが、この場合Aはあらかじめ、その目的、日時、場所、方法をB及び隣地使用者に通知しなければならない。

しかし、Aは緊急に対応しなければならず、あらかじめの通知が困難であった。このような場合、AはBに対してどのような対応をする必要があるか、【目的、日時、場所、方法について】に続く形で25文字程度で記述してください。

正解例
【目的、日時、場所、方法について】
B所有土地の使用を開始した後、遅滞なく通知をする。(25文字)
【解説】
一つ前の設問でも解説したとおり、隣地に立ち入ることが権利として認められる場合があります。しかし、いくら権利があるといっても、常識的に考えれば事前にお隣さんに伝えるべきでしょう。
以上のような当たり前のことが、民法にどのように規定されているのかを問う設問となっています。
まず、原則は「あらかじめの通知」です。しかし、緊急時など事前の通知が難しい場合は「使用開始後、遅滞なく通知」をすることになります。
常識を条文にするときも原則がありつつ、例外も規定する形になっているわけですね。

問題3

A所有の土地に、Bが所有する桜の木の枝が境界線を越えてのびてきた。Bの所在は明らかであり、枝を切除する急迫の事情はないとき、Aが自らその枝を切ることができるのはどのようなときか【Bに対して枝を切るように】に続く形で25文字程度で記述してください。

正解例
【Bに対して枝を切るように】
催告をしても、Bが相当の期間内に枝を切らないとき。(25文字)
【解説】
原則として隣地の木の枝が越境してきても、自分で切ってしまうのはNGです。それに対して、根が越境してきた場合は、自分で切ってしまってOKです。根を切るのに必要な要件はなく、越境してきたのなら切ってOKなのです。
枝に関しては、自分がで切ることができる例外として下記3パターンが用意されています。
①竹木の所有者に切ることを催告をして、それでも相当の期間内に切ってくれないとき
②所有者が不明、所在が不明
③緊急時(急迫の事情がある時)
ちなみに、細かい知識となる部分ですが要求する相手は隣地の所有者ではなく、竹木の所有者です。基本的には、「隣地の所有者=竹木の所有者」です。しかし、竹木はそれ単体で土地と切り離して、取引されることもあります。その場合は、土地の所有者と竹木の所有者が異なることになります。そのため、条文では「竹木の所有者」を要求する相手として規定しているのです。
参考条文
民法
(隣地の使用)
第二百九条 土地の所有者は、次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。ただし、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない。
一 境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕
二 境界標の調査又は境界に関する測量
三 第二百三十三条第三項の規定による枝の切取り
2 前項の場合には、使用の日時、場所及び方法は、隣地の所有者及び隣地を現に使用している者(以下この条において「隣地使用者」という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
3 第一項の規定により隣地を使用する者は、あらかじめ、その目的、日時、場所及び方法を隣地の所有者及び隣地使用者に通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが困難なときは、使用を開始した後、遅滞なく、通知することをもって足りる。
4 第一項の場合において、隣地の所有者又は隣地使用者が損害を受けたときは、その償金を請求することができる。
(公道に至るための他の土地の通行権)
第二百十条 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
2 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖がけがあって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。
(継続的給付を受けるための設備の設置権等)
第二百十三条の二 土地の所有者は、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用しなければ電気、ガス又は水道水の供給その他これらに類する継続的給付(以下この項及び次条第一項において「継続的給付」という。)を受けることができないときは、継続的給付を受けるため必要な範囲内で、他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用することができる。
2 前項の場合には、設備の設置又は使用の場所及び方法は、他の土地又は他人が所有する設備(次項において「他の土地等」という。)のために損害が最も少ないものを選ばなければならない。
3 第一項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用する者は、あらかじめ、その目的、場所及び方法を他の土地等の所有者及び他の土地を現に使用している者に通知しなければならない。
4 第一項の規定による権利を有する者は、同項の規定により他の土地に設備を設置し、又は他人が所有する設備を使用するために当該他の土地又は当該他人が所有する設備がある土地を使用することができる。この場合においては、第二百九条第一項ただし書及び第二項から第四項までの規定を準用する。
5 第一項の規定により他の土地に設備を設置する者は、その土地の損害(前項において準用する第二百九条第四項に規定する損害を除く。)に対して償金を支払わなければならない。ただし、一年ごとにその償金を支払うことができる。
6 第一項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その設備の使用を開始するために生じた損害に対して償金を支払わなければならない。
7 第一項の規定により他人が所有する設備を使用する者は、その利益を受ける割合に応じて、その設置、改築、修繕及び維持に要する費用を負担しなければならない。
(竹木の枝の切除及び根の切取り)
第二百三十三条 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができる。
2 前項の場合において、竹木が数人の共有に属するときは、各共有者は、その枝を切り取ることができる。
3 第一項の場合において、次に掲げるときは、土地の所有者は、その枝を切り取ることができる。
一 竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき。
二 竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき。
三 急迫の事情があるとき。
4 隣地の竹木の根が境界線を越えるときは、その根を切り取ることができる。
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<音声について>
この動画はCeVIOプロジェクトの【さとうささら】を使用しています。

<音楽素材、効果音素材について>
音楽素材提供:Music-Note.jp http://www.music-note.jp/
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