mini記述:民法物権#11

動画内容は、下記の「ウェブテキスト版」と同一です。そのため、動画を視聴しないで、下記の「ウェブテキスト版」のみに取り組んで頂いても問題はありません。
なお、解説内容は「アザラシ式記述対策講座」のものとほぼ同一となります。

ミニ記述チャレンジ ウェブテキスト版

問題1

Aは100万円をBに貸しつけ、BはAのために所有する家屋に抵当権を設定した。しかし、当該家屋をCが不法に占有してマラカス教室を開いている。これにより、Cの不法占有により抵当不動産(家屋)の交換価値の実現が妨げられ、抵当権者Aの優先弁済権行使が困難になった。

この場合、AはCに対してどのような対応をすることができるか、20文字程度で記述してください。

正解例
抵当権に基づく妨害排除請求権を行使できる。(21文字)
【解説】
抵当権者は、家屋に抵当権を設定したとしても、その家屋に住む権利はもちろん使う権利もありません。さらに家屋の管理をするわけでもありません。つまり、原則として抵当権を設定した家屋がどのような扱いをされていたとしても、文句を言える権利は持っていないわけです。
とはいえ、抵当権を設定している家屋の担保価値が下がってしまう場合には、「それはやめてくれよ!」と言えるというわけですね。
家屋の担保価値が下がるのがどのような意味か具体的に言うと、「交換価値の実現が妨げられて抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難になる状態」となります。五肢択一であれば、曖昧な知識でも正解できますが記述で正解するためには正確な知識が必要になります。何回か問題にチャレンジして覚えていきましょう。
参考判例 最高裁平成11年11月24日

問題2

Aは100万円をBに貸しつけ、BはAのために所有する家屋に抵当権を設定した。その後Bは当該家屋をCに賃貸した。この場合、建物の賃貸借契約が競売手続を妨害する目的があり、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられるときは、AはCに対して抵当権に基づく妨害排除請求を行える。

この際、建物の所有者Bが抵当不動産を適切に維持管理すると期待できない場合は、抵当権者AはCに対し、どのような要求をすることができるか25文字程度で記述してください。

正解例
直接自己への抵当不動産の明渡しを求めることができる。(26文字)
【解説】
一つ前の設問は、抵当不動産の家屋に不法占有している人がいる場合の問題でした。この設問は、抵当権設定者Bが、家屋をCに貸したというものです。
つまり、Cは正当な権原に基づいて家屋を占有している状況になるわけです。しかし、BとCが行った賃貸借契約が競売手続を妨害する目的があって、交換価値の実現が妨げられるのならAは抵当権に基づく妨害排除請求を行えるのです。正当な権原で占有していても、その権原が付与された目的が悪いものなら保護する必要ないでしょってわけですね。
そして、こういうときは抵当権設定者Bに家屋を管理させても、また悪いことをたくらむ可能性があります。そこで、上記のような事情があれば抵当権者が直接自分に明け渡せと言えるのですね。
抵当権者は、本来は抵当不動産を管理することはできません。しかし、事情が事情であれば、抵当権者が管理してもOKという場面があることを押さえておきましょう。
参考判例 最高裁平成17年3月10日
参考条文
民法
(抵当権の内容)
第三百六十九条 抵当権者は、債務者又は第三者が占有を移転しないで債務の担保に供した不動産について、他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
2 地上権及び永小作権も、抵当権の目的とすることができる。この場合においては、この章の規定を準用する。
(抵当権の効力の及ぶ範囲)
第三百七十条 抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び債務者の行為について第四百二十四条第三項に規定する詐害行為取消請求をすることができる場合は、この限りでない。
第三百七十一条 抵当権は、その担保する債権について不履行があったときは、その後に生じた抵当不動産の果実に及ぶ。
(抵当権の順位)
第三百七十三条 同一の不動産について数個の抵当権が設定されたときは、その抵当権の順位は、登記の前後による。
(抵当権の順位の変更)
第三百七十四条 抵当権の順位は、各抵当権者の合意によって変更することができる。ただし、利害関係を有する者があるときは、その承諾を得なければならない。
2 前項の規定による順位の変更は、その登記をしなければ、その効力を生じない。
(抵当権の被担保債権の範囲)
第三百七十五条 抵当権者は、利息その他の定期金を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の二年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。ただし、それ以前の定期金についても、満期後に特別の登記をしたときは、その登記の時からその抵当権を行使することを妨げない。
2 前項の規定は、抵当権者が債務の不履行によって生じた損害の賠償を請求する権利を有する場合におけるその最後の二年分についても適用する。ただし、利息その他の定期金と通算して二年分を超えることができない。
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ミニ記述 民法物権編
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