行政書士vs宅建士vs社労士、あなたにおすすめなのは?難易度と将来性で徹底比較

「自分にはどの資格が向いているのだろう?」
キャリアアップや独立開業を目指すとき、行政書士、宅建士(宅地建物取引士)、社労士(社会保険労務士)の3つは必ずと言っていいほど比較検討の対象にあがります。
結論から言えば、どの資格がおすすめかは、あなたの「現在の属性」と「目指すゴール(就職か独立か)」によって明確に決まります。
たとえば、不動産業界での即戦力を目指す人のなら、宅建氏より難易度があがる行政書士資格をわざわざ目指す必要はありません。しかし、将来的に「一国一城の主」として独立開業し、自分の裁量で生きていきたい人にとっては、行政書士はこれ以上ない武器になります。
この記事では、表面的な合格率や年収データの裏側にある「真実」を、公的データと試験の性質から紐解いていきます。
3資格の難易度比較:数字に騙されてはいけない

まずは、客観的な難易度を比較してみましょう。
一般的に言われている難易度の序列は以下のとおりです。
宅建士 < 行政書士 < 社労士
しかし、この序列を鵜呑みにして「宅建なら簡単だろう」と舐めてかかると痛い目に合います。
それぞれの直近の合格率データ(2023年度・令和5年度実績参考)を見てみましょう。
| 資格名 | 合格率 | 受験者数 | 必要な勉強時間(目安) |
|---|---|---|---|
| 宅建士 | 約17.2% | 約23万人 | 300~400時間 |
| 行政書士 | 約13.98% | 約4.7万人 | 600~800時間 |
| 社労士 | 約6.4% | 約4.3万人 | 800~1000時間 |
合格率の数字には「からくり」がある
数字だけを見ると、宅建士が一番受かりやすく、社労士が圧倒的に難しいように見えます。
しかし、ここには受験者層というバイアスがかかっていることに注意が必要です。
- 宅建士の場合:
会社から「強制的に」受けさせられている受験生が相当数含まれています。勉強不足のまま記念受験する層が多いため、実質的な競争倍率はもう少し高くなると考えられます。 - 行政書士の場合:
行政書士試験専業の受験生だけではなく司法試験・予備試験受験生が「腕試し」で受けているケースが含まれます。彼らは民法や憲法をみっちり基礎から積んでいるため、合格率を底上げしています。
つまり、初学者だけの合格率は、公表されている13.98%よりも低くなる(6~9%程度)と想定すべきです。 - 社労士の場合:
社労士は「科目ごとの足切り(基準点)」が非常に厳しい試験です。総合点で合格ラインを超えていても、たった1科目で1点足りずに涙を飲む受験生が毎年大量に発生します。
これは実力だけでなく、ある種の「運」や「執念」も試される試験だと言えるでしょう。
年収・収入データの真実:就職か独立かで世界が違う
「取れば食えるのか?」
これが最も気になる点でしょう。ここでは、ネット上の口コミではなく、信頼性のある公的データ(厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」等)をもとに比較します。
【就職・勤務の場合】の平均年収
企業に雇われて働く場合のデータは以下のとおりです。
| 資格・職種 | 平均年収(想定) | 出典・根拠 |
|---|---|---|
| 宅建士 (不動産業従事者) |
約450万~600万円 | 厚労省「令和5年賃金構造基本統計調査」不動産業・物品賃貸業の平均賃金より推計。資格手当(月1~3万円程度)が加算される傾向あり。 |
| 社労士 (社会保険労務士) |
約500万~700万円 | 厚労省「職業情報提供サイト(job tag)」掲載の統計データ。専門職として企業内人事や社労士法人勤務での水準。 |
| 行政書士 (使用人行政書士等) |
約300万~450万円 | 行政書士法人の求人実績ベース。 ※行政書士は「雇用」の求人が極端に少ないため、一般的な事務職給与に近い傾向がある。 |
ここから見えてくる事実は、「就職して安定した給料をもらいたいなら、行政書士は不利である」ということです。
行政書士事務所の求人は少なく、給与水準も決して高くありません。一方で、宅建士や社労士は、企業の総務部や不動産営業職として高い需要があり、資格手当も期待できます。
【独立開業の場合】の年収は「青天井」だが…
独立した場合、公的な平均データは役に立ちません。
なぜなら、年収3,000万円を超えるトップ層と、年収100万円未満の廃業予備軍が混在し、平均値が意味をなさないからです。
また、なによりも行政書士の平均年収には、公務員退職後に無試験で行政書士登録をしたが、ほぼ仕事をしない人たちも多く含まれているのです。
- 行政書士(独立):
建設業許可、国際業務(ビザ)、相続など、単価の高い業務を確立できれば、年収1,000万円超えは十分に射程圏内です。
初期投資を安上がりで済まそうと思えば、パソコンとプリンター程度を準備することで開業可能です。他ビジネスと比較すると仕入れが必要ないため利益率が高いのが特徴です。 - 社労士(独立):
企業との「顧問契約」がメインとなるため、一度契約が取れれば収入が安定します(ストックビジネス)。
ただし、顧問先を獲得するまでの営業ハードルは行政書士よりも高い傾向にあります。 - 宅建士(独立):
不動産業としての独立開業が必要です。事務所要件や供託金など、初期費用で数百万円~1,000万円規模の資金が必要です。
リスクは高いですが、不動産取引の仲介手数料は1件で数十万~数百万になるため、リターンも大きいです。
あなたにおすすめなのは?属性別マッチング

以上の難易度と収入面を踏まえた上で、あなたがどの資格を目指すべきか、属性別に解説します。
STEP1 リスクを取れるか確認する
まず、今の会社を辞めて独立する覚悟があるか、それとも会社員のまま収入を上げたいかを自問自答してください。
STEP2 以下のタイプ別診断を参照する
【タイプA:会社員のまま安定・昇給したい人】
⇒ 宅建士 または 社労士 がおすすめです。
特に不動産業界なら宅建は必須。一般企業の総務・人事部門なら社労士があれば、転職市場での価値は跳ね上がります。独学でも、しっかり時間をかければ合格可能です。
【タイプB:低資金で独立し、一発逆転したい人】
⇒ 行政書士 がおすすめです。
コネなし・カネなし・経験なしでも、法律知識と実務(と営業力)さえ身につければ試験合格後、数ヶ月で事務所を開くことができます。
就職には向きませんが、独立開業のしやすさは三資格の中で随一です。
【タイプC:法律系の最高峰を目指す足がかりにしたい人】
⇒ 行政書士 がおすすめです。
行政書士の試験科目は、憲法・民法・商法・行政法と、司法試験や予備試験との親和性が非常に高いです。将来的に弁護士や司法書士を目指す人が、最初の法的思考(リーガルマインド)を養うのに最適な試験と言えます。
独学で合格することはできるのか?
結論を言えば、どの資格も独学での合格は可能です。
しかし、その難易度は資格によって異なります。
- 宅建士:市販テキストと過去問のやりこみで十分合格可能です。
- 行政書士:独学でも可能ですが、記述式や一般知識(基礎知識)の対策が壁になります。YouTube等の無料動画をフル活用する必要があります。
- 社労士:独学は「かなり厳しい」と言わざるを得ません。法改正が頻繁にあり、科目数が多く、足切りリスクが高いためです。予備校や通信講座のカリキュラムに乗るのが無難です。
まとめ:どの試験も舐めていると落ちる
行政書士、宅建士、社労士。それぞれに魅力がありますが、共通して言えるのは「片手間で合格できるほど甘い試験ではない」ということです。
合格率10~15%という数字は、10人中9人が落ちることを意味します。
しかし、正しい戦略と教材選び、そして継続する意思があれば、初学者であっても必ず合格を目指すことができます。
特に行政書士試験は、学歴や実務経験の受験資格がなく、誰にでも門戸が開かれている「希望の資格」です。
独学+αで行政書士合格を目指す方法もある
もしあなたが、独立開業への切符として「行政書士」を選んだなら、完全独学は少しハードルが高いかもしれません。そこでおすすめするのが、高額な予備校に通うのではなく、サブスクやオンラインで効率的に勉強に取り組む方法です。
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