ミニ記述チャレンジ ウェブテキスト版
問題1
AはBに対し弁済期を迎えた100万円の貸金債権を有しているが、BはAを害することを知りながら自己所有の土地を、事情を知らないCに譲渡し無資力となった。この場合、AはCに対して詐害行為取消権を行使することができないが、それはなぜか【詐害行為取消権を行使するためには、】に続く形で20文字程度で記述してください。
正解例
【詐害行為取消権を行使するためには、】
Cが悪意であることが必要とされるため。(19文字)
【解説】
詐害行為取消権は、債務者が行った財産譲渡などの行為を取消してしまうことができる強力な権利です。強力な権利だからこそ、裁判上で行うことが必須となっています。
そして、強力な権利であるためBに詐害意思があることも求められます。仮にBが、Aを害する考えをもたずにCに土地を譲渡していたとしたら、詐害行為取消権は行使できないのです。
また、第三者Cのことを受益者といいますが、受益者Cが善意の場合にも詐害行為取消権は行使できません。
つまり、詐害行為取消権の行使のためには債務者の詐害意思、受益者Cの悪意が前提となっているわけです。
【詐害行為取消権を行使するためには、】
Cが悪意であることが必要とされるため。(19文字)
【解説】
詐害行為取消権は、債務者が行った財産譲渡などの行為を取消してしまうことができる強力な権利です。強力な権利だからこそ、裁判上で行うことが必須となっています。
そして、強力な権利であるためBに詐害意思があることも求められます。仮にBが、Aを害する考えをもたずにCに土地を譲渡していたとしたら、詐害行為取消権は行使できないのです。
また、第三者Cのことを受益者といいますが、受益者Cが善意の場合にも詐害行為取消権は行使できません。
つまり、詐害行為取消権の行使のためには債務者の詐害意思、受益者Cの悪意が前提となっているわけです。
問題2
AはBに対し、弁済期を迎えた100万円の貸金債権を有しているが、BはAを害することを知りながら自己所有の土地を、事情を知る配偶者Cとの離婚に伴う財産分与として給付した。このような、離婚時の財産分与は原則として詐害行為とはならない。しかし、例外的に財産分与の名前を借りた財産処分と言えるものとして、詐害行為となるのはどのようなときか20文字程度で記述してください。
正解例
BからCへの給付が不相当に過大であるとき。(21文字)
【解説】
設問のBは、明確にAに詐害意思をもって財産分与によって悪意のCに財産を給付しています。
原則論としては、仮にBが財産分与をすることによって無資力になるとしても詐害行為取消権の対象にはなりません。Bが、「この土地を妻に渡すと財産がゼロになって、Aに迷惑をかける…」と考えていたとしても、妻が離婚に伴って財産分与を受けることは法律上の権利です。
※ケースによっては夫側が財産分与請求権をもつこともあります。
妻が法律上の権利として、財産分与を受けるのですから詐害行為取消権で取消す対象とするべきではないということです。
しかし、そうは言っても不相当に過大で、財産分与の名前を借りた財産処分と言えるのなら詐害行為取消権を行使できるのです。財産分与とはいっても、常識の範囲を超えたらそれは違うでしょってわけですね。
参考判例 最高裁昭和58年12月19日
BからCへの給付が不相当に過大であるとき。(21文字)
【解説】
設問のBは、明確にAに詐害意思をもって財産分与によって悪意のCに財産を給付しています。
原則論としては、仮にBが財産分与をすることによって無資力になるとしても詐害行為取消権の対象にはなりません。Bが、「この土地を妻に渡すと財産がゼロになって、Aに迷惑をかける…」と考えていたとしても、妻が離婚に伴って財産分与を受けることは法律上の権利です。
※ケースによっては夫側が財産分与請求権をもつこともあります。
妻が法律上の権利として、財産分与を受けるのですから詐害行為取消権で取消す対象とするべきではないということです。
しかし、そうは言っても不相当に過大で、財産分与の名前を借りた財産処分と言えるのなら詐害行為取消権を行使できるのです。財産分与とはいっても、常識の範囲を超えたらそれは違うでしょってわけですね。
参考判例 最高裁昭和58年12月19日
【債権者代位権と詐害行為取消権の違い まとめ】
債権者代位権 | 詐害行為取消権 | |
守られる債権者の権利(被保全権利) |
金銭債権+登記請求など一部OK | 金銭債権 |
債務者の無資力要件 |
原則必要だが、登記請求などでは不要 | 必要 |
守られる債権者の権利(被保全権利)の成立時期 |
いつでもOK |
詐害行為前の成立が必須 |
債務者等の主観的要件 | ― |
・債務者の詐害意思 |
自己(債権者)への引渡し請求 | OK ※登記移転はできない |
OK |
時効 |
― |
2年 or 10年 |
行使方法 | 裁判外・裁判上どちらでもOK |
裁判上のみ |
参考条文
民法
(詐害行為取消請求)
第四百二十四条 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
2 前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない。
3 債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。
4 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。
(転得者に対する詐害行為取消請求)
第四百二十四条の五 債権者は、受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合において、受益者に移転した財産を転得した者があるときは、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場合に限り、その転得者に対しても、詐害行為取消請求をすることができる。
一 その転得者が受益者から転得した者である場合 その転得者が、転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。
二 その転得者が他の転得者から転得した者である場合 その転得者及びその前に転得した全ての転得者が、それぞれの転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。
(財産分与)
第七百六十八条 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。
民法
(詐害行為取消請求)
第四百二十四条 債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした行為の取消しを裁判所に請求することができる。ただし、その行為によって利益を受けた者(以下この款において「受益者」という。)がその行為の時において債権者を害することを知らなかったときは、この限りでない。
2 前項の規定は、財産権を目的としない行為については、適用しない。
3 債権者は、その債権が第一項に規定する行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、同項の規定による請求(以下「詐害行為取消請求」という。)をすることができる。
4 債権者は、その債権が強制執行により実現することのできないものであるときは、詐害行為取消請求をすることができない。
(転得者に対する詐害行為取消請求)
第四百二十四条の五 債権者は、受益者に対して詐害行為取消請求をすることができる場合において、受益者に移転した財産を転得した者があるときは、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場合に限り、その転得者に対しても、詐害行為取消請求をすることができる。
一 その転得者が受益者から転得した者である場合 その転得者が、転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。
二 その転得者が他の転得者から転得した者である場合 その転得者及びその前に転得した全ての転得者が、それぞれの転得の当時、債務者がした行為が債権者を害することを知っていたとき。
(財産分与)
第七百六十八条 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。
2 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。
3 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。
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