行政書士と社労士はどっちが難しい?合格率の罠と「足切り」の恐怖を徹底比較

行政書士と社労士はどっちが難しい?難易度と「試験の質」の違いを徹底解説

アザラシ
アザラシ

「行政書士と社会保険労務士(社労士)、ダブルライセンスを目指すならどっちから?」
「法律系資格の登竜門として、どちらが受かりやすい?」

このように、行政書士と社労士を比較検討する人は後を絶ちません。どちらも人気の国家資格であり、独立開業の武器になる資格ですが、その試験の性質は「水と油」ほど異なります。

結論から言えば、純粋な試験制度としての難易度は「社労士」の方が上です。しかし、受験する人の「得意分野(属性)」によっては、社労士の方が勉強しやすいと感じるケースも存在します。

この記事では、単なる合格率の比較だけでなく、試験制度の「質」や、受験生を苦しめる「魔物」の正体について、独断と偏見を交えつつ解説していきます。

1. 勉強時間と合格率から見る「客観的」な難易度

まずは、数字としての難易度を比較してみましょう。
一般的に言われている勉強時間と、近年の合格率は以下のとおりです。

項目 行政書士試験 社労士試験
必要な勉強時間 600~800時間
(初学者は1,000時間程度)
800~1,000時間
(初学者は1,000時間以上必須)
合格率(近年平均) 10~14%程度 6~7%程度
受験者数(令和5年度) 約4.7万人 約4.3万人

数字だけを見れば、社労士試験の方が合格率は低く、勉強時間も多く必要であることがわかります。
「合格率6%」と聞くと、100人受けて94人が落ちる計算になります。これだけで「無理だ…」と尻込みする人もいるかもしれません。

しかし、行政書士試験の合格率(10~14%)が高いからといって、行政書士が簡単なわけではありません。別記事でも解説したとおり、行政書士試験には「司法試験・予備試験受験生」などの猛者が腕試しで参戦しており、彼らが合格率を底上げしている側面があるからです。

とはいえ、それを加味しても、やはり「社労士の方が合格へのハードルは高い」と言わざるを得ません。その理由は、次項で解説する「試験の質」の違いにあります。

2. 「論理の行政書士」vs「暗記と運の社労士」

両試験の最大の違いは、求められる能力のベクトルが異なる点です。

行政書士は「法的思考力(リーガルマインド)」が問われる

行政書士試験のメイン科目は「民法」と「行政法」です。

特に民法は、条文を丸暗記しているだけでは解けない問題が出題されます。「AさんがBさんに土地を売ったが、実はCさんの土地だった場合…」といった事例に対して、論理的に答えを導き出す力が求められます。

つまり、法律の基礎理論をみっちり理解していれば、細かい知識を忘れていても現場思考で正解にたどり着けるケースがあるのです。もちろん、運任せだけで合格にたどり着けるわけではありませんが、論理的に答えを導き出せる問題は存在するのです。

これは、法学部出身者や公務員試験経験者といった属性の人にとっては非常に有利に働きます。

社労士は「膨大な記憶量」と「正確性」が問われる

一方、社労士試験は「労働基準法」「健康保険法」「国民年金法」など、実務的な法律や制度の細部を問う問題が中心です。ここでは、「論理的に考えて答えを出す」という要素は行政書士より薄くなります。

行政書士試験と比較すると、社労士試験では「数字(何日以内、何分の何など)」や「要件」の正確な記憶が求められます。

記憶すべき量は行政書士試験よりも多いです。重箱の隅をつつくような知識を、大量に、かつ正確に頭に叩き込む必要があります。暗記が苦手な人にとっては、社労士試験は地獄のような苦しみを味わうことになるでしょう。

行政書士試験も記憶力はとても重要な要素となりますが、社労士試験と比較すれば正確無比な記憶というよりも、柔軟性が問われる傾向が高いのです。

3. 社労士試験最大の恐怖「科目別足切り」

「行政書士より社労士の方が圧倒的に難しい」と言われる最大の理由は…

社労士試験特有の理不尽とも言える合格基準、通称「科目別足切り(基準点)」の存在があります。

行政書士試験にも「足切り」はありますが、それは「法令科目全体で〇点以上」「一般知識で〇点以上」という、大きな括りでの基準です。行政書士試験は苦手科目があっても、得意科目でカバーすれば合格可能です。

しかし、社労士試験は違います。

【社労士試験の足切りルール】
全8科目(選択式)または全7科目(択一式)のすべてにおいて、基準点(例:5点中3点以上など)をクリアしなければならない。

これが何を意味するかというと、
「総合点では合格ラインを大幅に超える満点近い成績を取っていても、たった1つの科目で1点足りなければ、その時点で不合格確定」
という事態が頻発するのです。

毎年、この「1点」に泣く受験生が大量発生します。しかも、その1点が取れるかどうかは、その年の出題の当たり外れ(奇問・難問)に左右されることも多く、「運の要素」も絡んできます。実力があっても運が悪ければ落ちる。これが社労士試験が「魔物」と呼ばれる所以であり、何年も合格できない受験生を生み出す要因となっています。

4. あなたの属性による相性は?

ここまで読むと「社労士は怖いからやめておこう」と思うかもしれません。しかし、難易度への評価は受験生の属性によって変わります。

属性A:法学部出身・論理的思考が得意な人

⇒ 行政書士試験の方が受かりやすいです。
民法などの法律の基礎知識があるため、行政書士試験の勉強は「知っていることの確認と応用」からスタートできます。逆に、社労士試験の「年金制度」や「保険実務」の細かい暗記にはアレルギー反応を示すかもしれません。

属性B:総務・人事の実務経験者・コツコツ暗記が得意な人

⇒ 社労士試験にアドバンテージがあります。
法律の条文解釈よりも、「年末調整」や「社会保険手続き」の実務イメージが湧くため、用語への抵抗感が少ないはずです。行政書士試験の「民法(物権・債権)」のような抽象的な概念よりも、実生活に直結する年金や保険の方が頭に入りやすいという人もいます。

5. ダブルライセンスを目指すなら順番は?

もし、両方の資格を取りたいと考えているなら、推奨されるルートは明確です。

STEP1 行政書士試験に合格する
STEP2 社労士試験に挑戦する

この順番をおすすめします。
理由は、学習効率の面だけでなく、「受験資格(受験生の属性)」という切実な問題が関係しているからです。

理由①:高卒者には「黄金のルート」になる

実は、この2つの試験には入り口に大きな違いがあります。

  • 行政書士試験:年齢・学歴・国籍問わず、誰でも受験可能
  • 社労士試験:大学卒・短大卒などの「受験資格」が必要

つまり、高卒の方や、大学を中退された方などの属性によっては、社労士試験を受けたくても、門前払いを食らってしまうのです。しかし、ここで諦める必要はありません。社労士試験の受験資格には「行政書士試験に合格した者」という規定が存在するからです。

学歴要件を満たしていない人にとって、誰でも受けられる行政書士試験に合格することは、単なる資格取得以上の意味――つまり「社労士試験へのパスポート獲得」を意味します。高卒から社労士を目指す場合、実務経験を積むルートもありますが、行政書士経由のルートが最も確実かつ、法律知識も身につくため「王道」と言えるでしょう。

理由②:法律の基礎体力が身につく

もちろん、学歴要件をクリアしている人にとっても、行政書士から始めるメリットは大きいです。
行政書士試験で学ぶ「憲法・民法」は、日本の法律体系の基礎です。ここで「法律の読み方」や「条文の構造」をみっちり基礎として固めておくと、社労士試験の勉強に入ったときに、労働法などの条文を読むスピードが格段に速くなります。

また、行政書士試験の方が(足切りリスクが低い分)努力が結果に反映されやすいため、まずはここで「国家資格に合格した」という成功体験を得ることが、メンタル維持の観点からも重要です。

独学での合格可能性を比較

最後に、独学の可否について解説します。

行政書士は独学でも合格可能

最近はYouTubeなどの無料動画が充実しており、市販のテキストと過去問を完璧にやり込めば、独学でも合格ラインに到達することは十分に可能です。もちろん、舐めていると痛い目に合いますが、正しい方向で努力すれば報われる試験です。

社労士の独学は「修羅の道」

社労士も独学合格者は存在しますが、おすすめはしません。理由は「法改正」の多さと、前述の「足切り対策」です。労働関係の法律は頻繁に改正され、試験でもそこが狙われます。市販のテキストだけでは最新情報のフォローが難しく、また「捨て問」と「取るべき問題」の選球眼を養うのが困難です。

社労士を目指すなら、最初から予備校や通信講座のカリキュラムに乗るのが、結果として最短ルートになります。

まとめ:どちらも簡単ではないが、道はある

行政書士と社労士。
難易度で言えば社労士の方が上ですが、行政書士試験も合格率10%前後の難関試験であることに変わりはありません。行政書士試験も十分に難関といえる難易度です。

どちらも「なんとなく」で合格できるほど甘い試験ではないのです。

しかし、自分の属性を見極め、正しい順番と戦略で挑めば、初学者であっても必ず合格を目指すことができます。

まずは、法律の基礎体力が必要な行政書士から攻めるのか、実務経験を活かして社労士に特攻するのか、自分のキャリアプランと相談してみてください。


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