
行政書士試験を受けるけど基礎知識が不安なんだよね…
このように政書士試験において、法令科目の勉強が順調に進んでいる人ほど、直前期に夜も眠れないほどの不安に襲われるテーマがあります。
それが「基礎知識(旧一般知識)」の足切りです。民法や行政法で記述抜き180点を超えるような実力者であっても、この基礎知識のたった1問に泣き、不合格となるケースは多いです。
基礎知識は、まともに正面からぶつかれば底なし沼にはまる非常に危険な分野です。しかし、受験生の「属性」に合わせた正しい戦略を持って挑めば、確実に足切りラインを突破し、合格を勝ち取ることができます。
この記事では、基礎知識という沼に深入りせずに「14問中6問」というノルマを確実にクリアするための現実的な戦略を徹底解説します。
基礎知識の「足切り」という非情なルールを再確認する
行政書士試験の基礎知識は、全14問(56点分)出題されます。この分野には「足切り」というルールが存在し、14問中6問(24点)以上正解が必要です。これを満たさないと法令科目が満点であってもその時点で不合格となります。
法令科目は積み上げが効く世界ですが、基礎知識は出題範囲が「この世のすべて」と言っても過言ではないほど広く、対策が立てづらいのが特徴です。そのため、多くの初学者が「何をどこまでやればいいのかわからない」という恐怖に陥ります。しかし、ここで最もやってはいけないのが、不安に駆られて基礎知識の対策に膨大な時間を投資することです。基礎知識は「高得点を狙う場所」ではなく、「最低限のノルマをクリアして法令科目にバトンを繋ぐ場所」であると、まずは心に刻んでください。
政治・経済・社会は「地頭の下駄」だと割り切る戦略
基礎知識の中でも最も範囲が広く、受験生を悩ませるのが「政治・経済・社会」の分野です。ここには明確な得点戦略を立てるのが非常に難しいという現実があります。
「対策不可能」を前提にする勇気
この分野では、最新の時事問題から数年前の国際情勢、あるいは複雑な経済用語まで幅広く出題されます。予備校のテキストや市販の参考書をどれだけ読み込んでも、本試験で「見たこともない用語」が出てくる可能性が高いです。
正直に言えば、この分野は元々の基礎学力や教養力、あるいは社会人としての経験値が高い人材に、多少の「下駄」を履かせるためのものだと考えて割り切るのが正解です。
属性による有利・不利の現実
40代や50代の社会人受験生であれば、日々の仕事やニュースを通じて自然と身についた「社会の仕組み」が最大の武器になります。一方で、社会経験の浅い学生は、用語の一つひとつを「記号」として覚えなければならず、苦戦を強いられる傾向にあります。 しかし、学生であっても、大学受験で政治経済を選択していた人や、日頃から論説文を読んでいる人は、その貯金だけで合格ラインを突破できることもあります。自分のこれまでの人生経験を信じ、この分野には深入りしない。これが最大の戦略です。
日々の「隙間」で得点可能性を上げる
対策は難しいと説明しましたが、完全に捨てるわけではありません。机に向かって勉強する時間を割くのではなく、日頃から新聞やニュースに触れる習慣を「生活」に組み込むことをおすすめします。 「覚える」のではなく「聞いたことがある」状態を増やす。
それだけで、本試験の現場で選択肢を2つまで絞り込める確率が劇的に上がります。スマートフォンのニュースアプリをチェックする、食事中にテレビニュースを流す。そんな「ながら」の努力が、足切り回避の1問を生み出す可能性を高めます。
文章理解は「過去の貯金」と「時間の使い方」で勝負する
例年3問程度出題される国語の「文章理解」は、得意不得意がはっきりと分かれる分野です。ここは得点源にしたいところですが、初学者が短期間で劇的に実力を伸ばすのは難しい分野でもあります。
「得意な人」は確実な得点源にする
学生時代から現代文が得意だった人や、読書習慣がある人にとっては、文章理解は「無対策で3問確保できる」ボーナスステージです。本試験では、この3問を確実に仕留めることで、足切りへの不安を大幅に軽減できます。ただし、文章理解は1問を解くのに時間がかかります。法令科目に時間を残すために、ここで時間を使いすぎないよう、解答順序を工夫する戦略も必要です。
「苦手な人」は深入りせず足掻く
文章理解に苦手意識がある人が、今さら問題集を何冊も解いたところで、本試験の現場で正解できる保証はありません。文章読解は体系的な学習がしづらく、勉強の成果が見えにくいからです。
苦手な人は、「3問中2問拾えればいい」というスタミナ配分で挑んでください。文章理解の勉強に10時間かけるなら、その時間を行政法の暗記に充てた方が、合格確率は確実に上がります。自分の属性を見極め、できないことに固執しないことが、独学合格の鉄則です。
「行政書士法・個人情報保護法等」こそが唯一のセーフティネット
基礎知識の中で、唯一「努力が点数に直結する」聖域があります。それが、行政書士法、戸籍法、住民基本台帳法、そして個人情報保護法といった法律分野です。ここは政治・経済・社会のようなギャンブルではありません。対策が非常にしやすく、確実な得点源となります。
条文を「全文」読み込む戦略
テキストの要約された解説だけを読んで満足するのは甘いです。特に行政書士法などは、条文そのものの文言が問われます。 参考書では省略されがちな「2項・3項」や「但し書き」にこそ、ひっかけ問題のネタが詰まっています。
行政書士法の「欠格事由」や「業務の制限」、戸籍法や住民基本台帳法など、条文の文章全体を一字一句疎かにせず読み込んでください。ここで14問中3〜4問を確実にゲットできれば、足切り回避はほぼ確実なものとできます。
基礎知識を攻略するための具体的な4つのSTEP
足切りを回避し、法令科目にリソースを集中させるための具体的なまわしかたを提示します。
STEP1:自分の「現在地」を知る
まずは直近3年分程度の過去問を解き、今の自分が無対策で何問正解できるかを確認してください。属性によって、「文章理解で稼げるのか」「教養で稼げるのか」を把握することがスタートラインです。
STEP2:法律分野の「条文」を徹底マーク
学習の中盤戦以降、行政書士法や戸籍法等の条文読み込みを開始します。ここは法令科目の行政法と同じ感覚で、「正確な条文知識」を脳に叩き込んでください。ここを固めることが、精神的な安定に直結します。
STEP3:ニュースの「耳学」を習慣化
「政治・経済・社会」のために机に座ってはいけません。移動時間や家事の間にニュースを聴く、あるいは解説動画を流しっぱなしにする。生活動線の中に情報を潜り込ませるのが、効率的な戦略です。
STEP4:模試で「解答順序」をシミュレーション
基礎知識をいつ解くか。最初か、最後か、あるいは合間か。模試を通じて、自分が最も集中力を維持でき、かつ文章理解に時間をかけすぎない「自分なりの順番」を確定させてください。
まとめ:基礎知識は「足切りさえ免れたら100点」
基礎知識の対策において、最も重要なのはメンタルです。「何が出るかわからない」という不安に負けて、法令科目の勉強がおろそかになることこそが、最大の不合格要因です。
基礎知識で確実に高得点を取る方法はありません。しかし、高得点を獲る必要もありません。
目標は「足切り回避(6問正解)」プラス、少しの余裕を持って「7〜8問正解」するのが理想です。 「法律分野で確実に3問、文章理解で2問、あとは運と教養で1〜2問」。これで合格を現実のものにします。足切りを免れた瞬間、あなたの合格は法令科目の実力通りに決まります。
基礎知識に「時間を売る」のはやめましょう。やるべきことを絞り、確実に取れる場所で点数を毟り取る。その冷徹な戦略が、あなたを合格へと導きます。今日から、不安に逃げるのではなく、戦略的な「割り切り」を持って学習に取り組んでください。



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