mini記述:民法総則#6

動画内容は、下記の「ウェブテキスト版」と同一です。そのため、動画を視聴しないで、下記の「ウェブテキスト版」のみに取り組んで頂いても問題はありません。
なお、解説内容は「アザラシ式記述対策講座」のものとほぼ同一となります。

ミニ記述チャレンジ ウェブテキスト版

問題1

Aの友人であるBは、Aの大切なマラカスを代理権がないにもかかわらずCに「Aの代理人だ」と伝え売却し、AはCからマラカスの引き渡しを求められた。この場合に、Aがマラカスを引き渡したくない場合にAが取るべき対応について【Aは、】に続く形で20文字程度で記述してください。

正解例
【Aは、】
追認を拒絶して引き渡しを拒絶できる。(18文字)
追認拒絶権を行使して、引き渡しを拒否できる。(22文字)
【解説】
設問は、典型的な無権代理の例となっています。無権代理は代理権がないのに、勝手に代理人と名乗って代理行為をしてしまうものです。
無権代理をされてしまうと、いろいろな問題が起きます。なぜかといえば、取引の相手方Cが本人Aに「マラカスを引き渡せ!」と言ってくるかもしれないし、無権代理をしたBが「マラカスを譲って!」と迫ってくるかもしれないからです。
そこで、本人Aは無権代理行為について「そんなの認めないよ(=追認拒絶)」をすることで問題をおさめることができるわけです。
なお、本人Aがたまたまマラカスを売却したいと考えている場合もあります。そんなときは「じゃーマラカスをCに売却するよ(=追認)」と言うこともできます。
無権代理は、勝手に代理行為をされたという迷惑なものです。とはいえ、時と場合によっては本人が取引を望む場合もあるので、追認をする選択肢も用意されているわけです。

問題2

Aの友人であるBは勘違いからAの代理人であると誤信し、Aの大切なマラカスをCに「Aの代理人だ」と伝え売却した。このとき購入者Cが善意無過失である場合、Bに対してどのような要求をすることができるか20文字程度で記述してください。

正解例
契約の履行又は、損害賠償の請求を行える。(20文字)
履行請求か、損害賠償請求のどちらかを行える。(22文字)

【解説】
まず、購入者Cは善意悪意関係なくAに対して催告権を行使することができます。また、善意であれば取消権を行使することもできます。
設問は、Cが善意無過失である場合にBに対して、何を要求できるのかを問うものです。答えとしては、契約とおり「マラカスを引き渡せ!(=契約の履行)」と要求することができるし、損害賠償請求もできます。
なお、Bが確信犯として自分に代理権がないことを知りながら取引をしていたのなら、Cが善意有過失(Bに代理権がないことは知らなかったけど、知ることはできたかもという状況)であっても、履行or損害賠償請求ができます。設問のBは自分に代理権があると信じている状況だったので、Cには善意無過失が要求されるという点もおさえておきましょう。

問題3

Aの土地を勝手に売った無権代理人B(Aの子)は、Aの死亡によりAを相続した。なお、B以外に相続人C・Dがいる。この場合、C・Dが追認をしているときにBは追認拒絶できるか否かを【他の共同相続人全員が無権代理行為の追認をしている場合は、】に続く形で理由と共に20文字程度で記述してください。

正解例
【他の共同相続人全員が無権代理行為の追認をしている場合は、】
信義則上、Bの追認拒絶は許されない。(18文字)

Bによる追認拒絶は、信義則上許されない。(20文字)
【解説】
設問の事例は、親の土地を子どもが勝手に代理人として売ってしまったというものです。
そして、本人であり親であるAが死亡すると、無権代理人である子Bが本人を相続してしまいます。仮にほかに相続人がいなければ、Bは追認を拒絶することは許されません。自分で勝手に代理人を名乗って、いざ自分が本人になったときに拒絶するなんて許されないのです。
設問の事例では、他相続人C・Dがいる状態です。こういった場合は、相続人全員で追認しないといけません。なぜなら、CやDからすると自分に関係がないBの身勝手で迷惑をかけられてはたまらないからです。しかし、そんなCとDが「追認OK」と言っているときに、もめ事を作った張本人のBが追認拒絶をするなんて許されるはずがありません。
簡単に言えば、Bが追認拒絶をするのはズルいから許されないというわけです。
参考判例 最高裁平成5年1月21日

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参考条文
民法
(無権代理)
第百十三条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。
(無権代理の相手方の催告権)
第百十四条 前条の場合において、相手方は、本人に対し、相当の期間を定めて、その期間内に追認をするかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなす。
(無権代理の相手方の取消権)
第百十五条 代理権を有しない者がした契約は、本人が追認をしない間は、相手方が取り消すことができる。ただし、契約の時において代理権を有しないことを相手方が知っていたときは、この限りでない。
(無権代理行為の追認)
第百十六条 追認は、別段の意思表示がないときは、契約の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
(無権代理人の責任)
第百十七条 他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
一 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が知っていたとき。
二 他人の代理人として契約をした者が代理権を有しないことを相手方が過失によって知らなかったとき。ただし、他人の代理人として契約をした者が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りでない。
三 他人の代理人として契約をした者が行為能力の制限を受けていたとき。
(単独行為の無権代理)
第百十八条 単独行為については、その行為の時において、相手方が、代理人と称する者が代理権を有しないで行為をすることに同意し、又はその代理権を争わなかったときに限り、第百十三条から前条までの規定を準用する。代理権を有しない者に対しその同意を得て単独行為をしたときも、同様とする。
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