ミニ記述チャレンジ ウェブテキスト版
問題1
Aはバナナを購入しようと考えたが、間違えてBに対してりんごを注文した。このときAに重過失はなく、Bは悪意ではなかったものとする。
この場合に、Aが錯誤によりりんごの注文を取消すことができるのはどのような場合か、【Aの法律行為が、】に続く形で25文字程度で記述してください。
正解例
【Aの法律行為が、】
目的及び、取引上の社会通念に照らして重要な場合。(24文字)
目的及び、取引上の社会通念に照らし重要であるとき。(25文字)
【解説】
Aの本心は「バナナが欲しい」となるので、これがAの意思です。ところが、Aは「りんごが欲しい」と意思表示をしてしまったわけです。つまり、Aの意思と意思表示が異なっている状態になっています。
以上を前提として、錯誤があったとしても原則としては契約は有効に成立します。錯誤があったからといちいち契約を無効にしていたら、キリがないのでこれはわかりやすいですね。
しかし、錯誤に基づく契約は取消すことができる場合もあって、それが設問の論点となっているわけです。結論としては、法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは取消すことができるということになります。
【Aの法律行為が、】
目的及び、取引上の社会通念に照らして重要な場合。(24文字)
目的及び、取引上の社会通念に照らし重要であるとき。(25文字)
【解説】
Aの本心は「バナナが欲しい」となるので、これがAの意思です。ところが、Aは「りんごが欲しい」と意思表示をしてしまったわけです。つまり、Aの意思と意思表示が異なっている状態になっています。
以上を前提として、錯誤があったとしても原則としては契約は有効に成立します。錯誤があったからといちいち契約を無効にしていたら、キリがないのでこれはわかりやすいですね。
しかし、錯誤に基づく契約は取消すことができる場合もあって、それが設問の論点となっているわけです。結論としては、法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは取消すことができるということになります。
問題2
AはBから高級マラカスを購入したつもりだったが、このマラカスはAの重過失により安物であることが判明した。この場合、重過失があるAは取消しの主張はできない。
しかし、Aが錯誤により取消しを主張できる場合として、BがAの錯誤について知っていたり、重過失で気づけなかったりしたときがある。さらに、そのほかにAが錯誤による取消しを主張できるのはどのようなときか、20~25文字程度で記述してください。
正解例
BがAと同一の錯誤に陥っていたとき。(18文字)
Bも錯誤により高級マラカスであると認識していたとき。(26文字)
【解説】
一つ前の設問のとおり、錯誤に基づく契約は、法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは取消すことができます。
しかし、いくら錯誤(=勘違い)があったとしても、それがその人の重大な過失が原因であれば取消しは認められません。単なる過失ではなく、重大な過失となっている点に注意してくださいね。錯誤に関しては、この重大な過失があるかどうかがポイントとなってきます。
設問では、Aが重大な過失に基づく錯誤によって安物マラカスを購入したとなっています。つまり、Aは原則としてマラカスの売買契約を取消すことができません。
ところが、その相手方のBが下記3パターンのどれかに該当する場合は、Aに重過失があっても取消しOKとなるのです。
・Aが錯誤(=勘違い)していると知っている
・重大な過失でAが錯誤(=勘違い)していると知らなかった
・BもAと同じ錯誤(=勘違い)をしていた
この設問は、最後の「BもAと同じ錯誤(=勘違い)をしていた」を書くことができたら正解となってわけです。
BがAと同一の錯誤に陥っていたとき。(18文字)
Bも錯誤により高級マラカスであると認識していたとき。(26文字)
【解説】
一つ前の設問のとおり、錯誤に基づく契約は、法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは取消すことができます。
しかし、いくら錯誤(=勘違い)があったとしても、それがその人の重大な過失が原因であれば取消しは認められません。単なる過失ではなく、重大な過失となっている点に注意してくださいね。錯誤に関しては、この重大な過失があるかどうかがポイントとなってきます。
設問では、Aが重大な過失に基づく錯誤によって安物マラカスを購入したとなっています。つまり、Aは原則としてマラカスの売買契約を取消すことができません。
ところが、その相手方のBが下記3パターンのどれかに該当する場合は、Aに重過失があっても取消しOKとなるのです。
・Aが錯誤(=勘違い)していると知っている
・重大な過失でAが錯誤(=勘違い)していると知らなかった
・BもAと同じ錯誤(=勘違い)をしていた
この設問は、最後の「BもAと同じ錯誤(=勘違い)をしていた」を書くことができたら正解となってわけです。
問題3
Aは自己所有の土地を錯誤によりBに売却した。その後、BはAの錯誤について善意のCに当該土地を売却した。しかし、その後Aは錯誤により土地の売却契約を取消し、Cから土地を取り返した。Cはなぜ第三者として保護されなかったのか、【Cが保護されるためには、】に続く形で20~25文字程度で記述してください。
正解例
【Cが保護されるためには、】
善意だけでは足りず、善意無過失である必要があったから。(27文字)
善意だけではなく無過失も要求される。(18文字)
【解説】
錯誤に関しては第三者が保護されるためには、善意だけではなく、無過失まで要求されます。
心裡留保と虚偽表示の場合は、第三者が保護されるためには「善意だけでOK」です。しかし、錯誤の第三者は「善意無過失」が要求されることをしっかりおさえておきましょう。
【Cが保護されるためには、】
善意だけでは足りず、善意無過失である必要があったから。(27文字)
善意だけではなく無過失も要求される。(18文字)
【解説】
錯誤に関しては第三者が保護されるためには、善意だけではなく、無過失まで要求されます。
心裡留保と虚偽表示の場合は、第三者が保護されるためには「善意だけでOK」です。しかし、錯誤の第三者は「善意無過失」が要求されることをしっかりおさえておきましょう。
参考条文
民法
(錯誤)
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
民法
(錯誤)
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。
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