
40代になって、今さら法律の勉強なんてできるだろうか…

仕事も忙しいのに、合格率10%の試験に挑むのは無謀じゃないのかな…
行政書士試験の受験を考えている人の中には、上記のような不安を抱えている方は多いです。
結論から言えば、40代初学者が行政書士試験に独学で合格することは十分に可能です。しかし、世の中に溢れる「たった数ヶ月で楽々合格」といった甘い言葉を信じて挑めば、十中八九、痛い目に合います。
行政書士試験は、受験する人の「属性」によってその難易度への評価が180度変わる試験です。法律の基礎がある人にとっては「腕試し」にちょうど良い難易度です。
ところが、初学者にとっては「全く別の言語を習得する」ほどの高い壁が立ちはだかります。この記事では、40代という属性を最大限に活かして合格を掴み取るための「知略」を解説していきます。この記事を読み終える頃には、あなたが行政書士試験合格のために何をするべきかが明確になっているはずです。
データが証明する意外な事実:行政書士試験の主役は「40代」である
「資格試験は若い方が有利だ」という先入観は、行政書士試験においては捨てましょう。行政書士試験研究センターが公表しているデータをみてみると、非常に面白い傾向が見えてきます。

※出典:試験結果分析資料 | 行政書士試験研究センター https://gyosei-shiken.or.jp/doc/exam/result/analytics.html
【令和6年度試験 年齢別データ比較】
・20代:合格者 21%
・40代:合格者 25.4%
この数字を見て、あなたはどう感じたでしょうか。注目すべきは、合格者数の内訳では40代が20代を大きく上回っているという点です。つまり、行政書士試験において40代は30代受験生と並んで「最大勢力」であり、かつ最も結果を出している世代なのです。
なぜ、記憶力がピークを過ぎたはずの40代が、20代よりも多くの合格者を出しているのでしょうか。そこには行政書士試験特有の性質があります。この試験は、単なる知識の暗記量だけを問うものではありません。問題文の意図を正確に読み取り、複雑な事案を整理し、法的なバランス(リーガルマインド)を持って正解を導き出す「大人の読解力」が求められるからです。
これまで社会人として様々なトラブルを解決し、契約や交渉の場をくぐり抜けてきた40代の経験値は、法律を学ぶ上で最強の武器になります。データが示す通り、40代は決して「今さら」ではなく、まさに「今こそ」が受験の適齢期なのです。
合格率13.9%(令和6年度)の正体と、初学者の「実質難易度」
令和6年度の合格率は13.9%でした。これまでの「10%前後」という傾向に比べると、かなり高い数字に見えます。この数字を見て「なんだ、意外と受かるじゃないか」と油断した人は、不合格へのカウントダウンが始まっていると言っても過言ではありません。この13.9%という数字には、注意すべき「カラクリ」があります。
合格者の中に紛れ込む「上位資格受験生」の存在
行政書士試験の合格率を押し上げているのは、実は純粋な行政書士受験生だけではありません。司法試験や予備試験、司法書士試験といった、より難易度の高い試験に挑戦している層が、滑り止めや腕試しとして数多く受験しています。彼らにとって行政書士試験の法律科目は、普段勉強している内容の「基礎」に過ぎません。こうした「法律のプロ予備軍」が、13.9%の合格枠の相当数をさらっていっているのが現実です。
【独断と偏見による想定】初学者の実質合格率は?
あくまでアザヨビ運営者の経験則と偏見に基づく想定ですが、こうした上位資格組を除外した「法律初学者」だけの合格率がどうなるかというと……おそらく合格率6%〜9%程度になるのではないかと推測しています。
13.9%という見かけの数字に騙されてはいけません。初学者にとって、行政書士試験は依然として「10人に1人も受からない非常に厳しい試験」なのです。この厳しい現実を直視した上で、どう戦うかを決めるのが「知略」の第一歩です。
法律初学者が独学で合格するために必要な「覚悟」
結論を言えば、独学でも合格は可能です。しかし、それは「独学でも簡単に合格できる」という意味ではありません。40代初学者が独学で合格するためには、以下の2つの現実を攻略する必要があります。
1. 「法律用語」という外国語の習得
法律の文章は、日本語でありながら日常用語とは全く異なる意味を持つ言葉のオンパレードです。「善意(知らないこと)」「悪意(知っていること)」「みなす」「推定する」……。こうした言葉の定義を、いちいち脳内で変換しながら問題文を読むのは、初学者にとって非常にストレスのかかる作業です。
最初の2〜3ヶ月は、この「言葉の壁」に阻まれて、全く勉強が進まないこともあるでしょう。そこで挫折せずに、しつこく食らいつけるかどうかが、独学合格の分かれ道になります。
2. YouTubeという最強の「武器」の使い分け
今の時代、独学は「独り」で勉強することではありません。YouTubeには予備校講師クラスの無料講義動画が溢れています。これは、一昔前の独学とは比較にならないほど恵まれた環境です。
しかし、情報が多すぎるのも問題です。複数のチャンネルをフラフラとはしごするのではなく、「この人の解説が一番しっくりくる」という講師を一人に絞り込み、その動画をボロボロになるまで繰り返し視聴してください。
ただし、ある程度理解が進んできた段階では他講師・チャンネルの講義を聴くことはおすすめできます。
40代初学者が合格点を「毟り取る」ための戦略(知略)
行政書士試験は300点満点中180点で合格です。6割取れば合格。この「6割でいい」という事実をどれだけ戦略的に活用できるかが、忙しい40代の知略です。満点を目指す完璧主義は、初学者が最もやってはいけない「愚策」です。
行政法と民法へのリソース全集中
行政書士試験の配点は、行政法が112点、民法が76点です。この2科目だけで、全配点の約6割を占めます。つまり、他の科目を極論捨てたとしても、この2科目を完璧に仕上げれば合格圏内に入れます。 特に40代初学者が注力すべきは「行政法」です。
行政法は暗記の側面が強いですが、一度ルールを理解してしまえば点数が安定しやすいという特徴があります。逆に「民法」は、事案が複雑で初学者には難解ですが、配点が高いので逃げるわけにはいきません。この2科目に全勉強時間の70%以上を投下してください。商法や会社法は、範囲が広すぎる割に配点が低いので、初年度は「最低限の知識」だけで乗り切る割り切りが必要です。
「基礎知識」の足切りを舐めてはいけない
令和6年度から一部出題範囲が変更された「基礎知識(旧一般知識)」。全14問のうち6問以上正解しなければ、法律科目が満点でも不合格になる「足切り」が存在します。 40代の方は、日頃からニュースに触れているため「時事問題なら対策なしでもいける」と過信しがちです。
しかし、本試験の時事問題はクイズのようなマニアックな出題も多く、運に左右されます。確実な知略は、対策が立てやすい「行政書士法」や「個人情報保護法」などの法律分野を完璧にして、ここで確実に3〜4問をもぎ取ることです。残りの数問を、これまでの人生で培った常識(文章理解など)で埋める。これが足切りを回避するための最も安定した戦略です。
独学の勉強をまわすための具体的な4つのSTEP
それでは、具体的に今日からどのように勉強を進めれば良いのか。アザヨビが推奨する「4つのSTEP」を提示します。この順番を乱さないことが、最短ルートを走るコツです。
STEP1:教材の準備(余計なものは買わない)
40代の初学者が陥りやすいのが「不安からくる教材の買いすぎ」です。書店にある参考書を何冊も揃える必要はありません。必要なのは以下の3点だけです。
- 市販の分かりやすいテキスト(1シリーズに絞る)
- 過去問集
- 試験用六法(条文が載っているもの)
これ以外は、YouTubeの無料動画があれば十分です。教材は「浮気をせず、一冊を使い倒す」のが鉄則です。
ただし、より合格確率を高めたいのであれば各種予備校の利用をおすすめします。
STEP2:インプットとアウトプットの黄金回転
「テキストを1冊読み終えてから過去問を解く」というのは、初学者が最も挫折しやすい方法です。 正しい回転は、以下の通りです。
- テキストの1テーマ(例:民法の制限行為能力者)を読む。
- そのテーマに対応するYouTube講義動画を見る。
- すぐにそのテーマの過去問を解く。
上記の1と2は逆でも構いません。1と2でまず知識を頭になんとなくでも流し込むのです。
そして、ある程度でも理解した直後にアウトプットすることで、脳は「この知識は必要なものだ」と認識し、定着率が跳ね上がります。理解度は5割で構いません。まずは止まらずに回し続けることが重要です。
STEP3:六法(条文)をみる習慣をつける
多くの受験生が面倒くさがってやらないのが「六法をみること」です。しかし、行政書士試験の正解の根拠は、常に「条文」か「判例」にあります。 過去問の解説を読んで理解した気にならず、必ず六法を開いて実際の条文を確認してください。「第〇条にはこう書いてある」という一次情報に触れることで、記憶は劇的に強固になります。六法をみる手間を惜しむ人は、本試験のひっかけ問題に必ず足元をすくわれます。
STEP4:記述式は「社会人の要約力」で部分点を狙う
40字記述問題は配点が60点もあり、初学者には非常に高く見えます。完璧な文章を書こうとすると、そこで思考が停止してしまいます。 しかし、記述式の採点基準は「必要なキーワードが入っているか」だけです。
40代のあなたは、仕事の報告書で「要点を短くまとめる」作業を何度もやってきたはずです。記述式は、そのスキルを法律用語に置き換えるだけです。満点を狙わず、「このキーワードだけは入れる」という部分点狙いの精神で取り組む。これが、記述式の壁を壊す知略です。
3時間の本試験を戦い抜くための「体力管理」
40代の受験において、意外と軽視されているのが「肉体面」の対策です。行政書士試験は3時間という長丁場で行われます。これは、40代にとって想像以上に過酷な「肉体労働」であることを自覚してください。
試験後半の集中力切れを防ぐ
試験開始から2時間を過ぎたあたりで、脳のエネルギーが切れ、普段なら絶対にしないようなミス(マークミスや問題文の読み飛ばし)を連発するようになります。これを防ぐ知略は、日頃から「3時間座って思考し続けるスタミナ」を養っておくことです。 特別な筋トレは必要ありません。週に数回のウォーキングで血流を良くしておくこと、そして何より「睡眠不足」で勉強しないことです。疲れた脳に知識を詰め込んでも、それは本試験のプレッシャー下では全く役に立ちません。体力管理もまた、試験科目の一つなのです。
おわりに:10年後の自分を救うのは「今日の決断」
ここまで読んでくださったあなたは、行政書士試験が「簡単ではないが、40代が最も結果を出している試験である」という事実を理解されたはずです。
行政書士という資格は、一度取得してしまえば、残りの人生30年、40年を支え続ける最強のライセンスになります。定年という概念がなく、自分の名前で仕事をし、誰かの力になり、その対価を得る。そんな「第2の人生」へのパスポートが、この試験の先には待っています。40代は、そのパスポートを手に入れるための、最後にして最大のチャンスです。
「明日から頑張ろう」という言葉を繰り返す人のところに、合格通知が届くことはありません。今日、この瞬間にテキストを注文する、あるいは一問だけ過去問を解いてみる。その小さな一歩が、合格率10%前後の壁を突き破るための、唯一にして絶対の知略です。10年後の自分に「あの時、勇気を出して始めておいてよかった」と言わせるために。あなたの挑戦を、心から応援しています。



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