確かめ問題
問題1
質権は当事者同士の合意により成立する。
答え ×
質権は要物契約のため当事者の合意のほかに、物の引き渡しが成立要件となる。
質権は要物契約のため当事者の合意のほかに、物の引き渡しが成立要件となる。
問題2
質権で支払い期限までに支払いがないときに、所有権を移転させる契約を事前にすることは民法の規定ではできない。
答え 〇
民法上は、設問ような形(流質契約)はできない。
民法上は、設問ような形(流質契約)はできない。
問題3
転質は、質権設定者(物を質入れした人)の承諾を得ないとできない。
答え ×
転質は承諾を得ないでできる。ただし、承諾を得ていないときは責任が重たくなる。
承諾を得て転質をしたときに生じた損失は、「不可抗力であったとしても責任を負う」ことになる。
転質は承諾を得ないでできる。ただし、承諾を得ていないときは責任が重たくなる。
承諾を得て転質をしたときに生じた損失は、「不可抗力であったとしても責任を負う」ことになる。
問題4
不動産質には収益的効力がある。
正解 〇
担保物権の中でも、不動産質にだけ収益的効力が認められている。
担保物権の中でも、不動産質にだけ収益的効力が認められている。
問題5 アザヨビ限定問題
Aは、Bからお金を借りるにあたって、マラカスに質権を設定しBに引き渡したが、Bは当該マラカスをCに奪われた。この場合、BはCに対して質権に基づくマラカスの返還請求を行える。
答え ×
マラカスのような動産質権者が、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を取り返すことができる。質権に基づく返還請求は行えない。
マラカスのような動産質権者が、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を取り返すことができる。質権に基づく返還請求は行えない。
問題6 アザヨビ限定問題
Aは、Bからお金を借りるにあたって、マラカスに質権を設定しBに引き渡したが、Bは当該マラカスをCに奪われた。しかし、当該マラカスを奪ったCは反省して、マラカスに記名されていた名前等を元に、マラカスをAに引き渡した。この場合、BはAに対して質権に基づく返還請求を行える。
正解〇
そのとおり。問題5との違いで混乱するかもしれません。動産質について質権に基づく返還請求が認められないのは、動産質は占有し続けることが「第三者への対抗要件」だからということを押さえましょう。
つまり、Bがマラカスの占有を失った時点で、第三者に「僕がマラカスの質権者だ!」と主張できなくなります。「質権者だ!」と主張できないので「質権に基づく返還請求」もできないという結論になるわけです。これが問題5の結論です。
しかし、この問題では「返せ!」という相手が債務者であり、質権を設定したAです。質権者のBは占有を失ったら第三者には質権者だと主張できませんが、Aは質権設定の当事者なので第三者ではありません。だから、Bは質権設定の当事者であるAに対しては「僕がマラカスの質権者だ!だからマラカスを返せ!」と言えることになるのです。
そのとおり。問題5との違いで混乱するかもしれません。動産質について質権に基づく返還請求が認められないのは、動産質は占有し続けることが「第三者への対抗要件」だからということを押さえましょう。
つまり、Bがマラカスの占有を失った時点で、第三者に「僕がマラカスの質権者だ!」と主張できなくなります。「質権者だ!」と主張できないので「質権に基づく返還請求」もできないという結論になるわけです。これが問題5の結論です。
しかし、この問題では「返せ!」という相手が債務者であり、質権を設定したAです。質権者のBは占有を失ったら第三者には質権者だと主張できませんが、Aは質権設定の当事者なので第三者ではありません。だから、Bは質権設定の当事者であるAに対しては「僕がマラカスの質権者だ!だからマラカスを返せ!」と言えることになるのです。
問題7 アザヨビ限定問題
Aは、Bからお金を借りるにあたって、A所有の土地に質権を設定しBに引き渡し質権設定登記を行った。その後、Bが気がつかない間に当該土地をCに占有されてしまった。この場合、BはCに対して質権に基づいて土地の返還請求を行える。
答え 〇
占有が第三者への対抗要件となる動産質と違い、不動産質は登記が第三者への対抗要件となる。そのため、Bが土地の占有を失っても第三者への対抗力を失うわけではない(=占有を失っても「僕が質権者だから返せ!」と言える)。
以上から、動産質と違い、不動産質であれば質権に基づく返還請求を行えることになる。
占有が第三者への対抗要件となる動産質と違い、不動産質は登記が第三者への対抗要件となる。そのため、Bが土地の占有を失っても第三者への対抗力を失うわけではない(=占有を失っても「僕が質権者だから返せ!」と言える)。
以上から、動産質と違い、不動産質であれば質権に基づく返還請求を行えることになる。
答え
内容
参考判例 最高裁昭和32年7月5日
内容
参考判例 最高裁昭和32年7月5日
参考条文
民法
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
第九章 質権
第一節 総則
(質権の内容)
第三百四十二条 質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
(質権の目的)
第三百四十三条 質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。
(質権の設定)
第三百四十四条 質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。
(質権設定者による代理占有の禁止)
第三百四十五条 質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。
(質権の被担保債権の範囲)
第三百四十六条 質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
(質物の留置)
第三百四十七条 質権者は、前条に規定する債権の弁済を受けるまでは、質物を留置することができる。ただし、この権利は、自己に対して優先権を有する債権者に対抗することができない。
(転質)
第三百四十八条 質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で、質物について、転質をすることができる。この場合において、転質をしたことによって生じた損失については、不可抗力によるものであっても、その責任を負う。
(契約による質物の処分の禁止)
第三百四十九条 質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない。
(留置権及び先取特権の規定の準用)
第三百五十条 第二百九十六条から第三百条まで及び第三百四条の規定は、質権について準用する。
(物上保証人の求償権)
第三百五十一条 他人の債務を担保するため質権を設定した者は、その債務を弁済し、又は質権の実行によって質物の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。
第二節 動産質
(動産質の対抗要件)
第三百五十二条 動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。
(質物の占有の回復)
第三百五十三条 動産質権者は、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。
(動産質権の実行)
第三百五十四条 動産質権者は、その債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。この場合において、動産質権者は、あらかじめ、その請求をする旨を債務者に通知しなければならない。
(動産質権の順位)
第三百五十五条 同一の動産について数個の質権が設定されたときは、その質権の順位は、設定の前後による。
第三節 不動産質
(不動産質権者による使用及び収益)
第三百五十六条 不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。
(不動産質権者による管理の費用等の負担)
第三百五十七条 不動産質権者は、管理の費用を支払い、その他不動産に関する負担を負う。
(不動産質権者による利息の請求の禁止)
第三百五十八条 不動産質権者は、その債権の利息を請求することができない。
(設定行為に別段の定めがある場合等)
第三百五十九条 前三条の規定は、設定行為に別段の定めがあるとき、又は担保不動産収益執行(民事執行法第百八十条第二号に規定する担保不動産収益執行をいう。以下同じ。)の開始があったときは、適用しない。
(不動産質権の存続期間)
第三百六十条 不動産質権の存続期間は、十年を超えることができない。設定行為でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、十年とする。
2 不動産質権の設定は、更新することができる。ただし、その存続期間は、更新の時から十年を超えることができない。
(抵当権の規定の準用)
第三百六十一条 不動産質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、次章(抵当権)の規定を準用する。
第四節 権利質
(権利質の目的等)
第三百六十二条 質権は、財産権をその目的とすることができる。
2 前項の質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、前三節(総則、動産質及び不動産質)の規定を準用する。
第三百六十三条 削除
(債権を目的とする質権の対抗要件)
第三百六十四条 債権を目的とする質権の設定(現に発生していない債権を目的とするものを含む。)は、第四百六十七条の規定に従い、第三債務者にその質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。
第三百六十五条 削除
(質権者による債権の取立て等)
第三百六十六条 質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができる。
2 債権の目的物が金銭であるときは、質権者は、自己の債権額に対応する部分に限り、これを取り立てることができる。
3 前項の債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したときは、質権者は、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。この場合において、質権は、その供託金について存在する。
4 債権の目的物が金銭でないときは、質権者は、弁済として受けた物について質権を有する。
民法
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
第九章 質権
第一節 総則
(質権の内容)
第三百四十二条 質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
(質権の目的)
第三百四十三条 質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。
(質権の設定)
第三百四十四条 質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。
(質権設定者による代理占有の禁止)
第三百四十五条 質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。
(質権の被担保債権の範囲)
第三百四十六条 質権は、元本、利息、違約金、質権の実行の費用、質物の保存の費用及び債務の不履行又は質物の隠れた瑕疵によって生じた損害の賠償を担保する。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
(質物の留置)
第三百四十七条 質権者は、前条に規定する債権の弁済を受けるまでは、質物を留置することができる。ただし、この権利は、自己に対して優先権を有する債権者に対抗することができない。
(転質)
第三百四十八条 質権者は、その権利の存続期間内において、自己の責任で、質物について、転質をすることができる。この場合において、転質をしたことによって生じた損失については、不可抗力によるものであっても、その責任を負う。
(契約による質物の処分の禁止)
第三百四十九条 質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない。
(留置権及び先取特権の規定の準用)
第三百五十条 第二百九十六条から第三百条まで及び第三百四条の規定は、質権について準用する。
(物上保証人の求償権)
第三百五十一条 他人の債務を担保するため質権を設定した者は、その債務を弁済し、又は質権の実行によって質物の所有権を失ったときは、保証債務に関する規定に従い、債務者に対して求償権を有する。
第二節 動産質
(動産質の対抗要件)
第三百五十二条 動産質権者は、継続して質物を占有しなければ、その質権をもって第三者に対抗することができない。
(質物の占有の回復)
第三百五十三条 動産質権者は、質物の占有を奪われたときは、占有回収の訴えによってのみ、その質物を回復することができる。
(動産質権の実行)
第三百五十四条 動産質権者は、その債権の弁済を受けないときは、正当な理由がある場合に限り、鑑定人の評価に従い質物をもって直ちに弁済に充てることを裁判所に請求することができる。この場合において、動産質権者は、あらかじめ、その請求をする旨を債務者に通知しなければならない。
(動産質権の順位)
第三百五十五条 同一の動産について数個の質権が設定されたときは、その質権の順位は、設定の前後による。
第三節 不動産質
(不動産質権者による使用及び収益)
第三百五十六条 不動産質権者は、質権の目的である不動産の用法に従い、その使用及び収益をすることができる。
(不動産質権者による管理の費用等の負担)
第三百五十七条 不動産質権者は、管理の費用を支払い、その他不動産に関する負担を負う。
(不動産質権者による利息の請求の禁止)
第三百五十八条 不動産質権者は、その債権の利息を請求することができない。
(設定行為に別段の定めがある場合等)
第三百五十九条 前三条の規定は、設定行為に別段の定めがあるとき、又は担保不動産収益執行(民事執行法第百八十条第二号に規定する担保不動産収益執行をいう。以下同じ。)の開始があったときは、適用しない。
(不動産質権の存続期間)
第三百六十条 不動産質権の存続期間は、十年を超えることができない。設定行為でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、十年とする。
2 不動産質権の設定は、更新することができる。ただし、その存続期間は、更新の時から十年を超えることができない。
(抵当権の規定の準用)
第三百六十一条 不動産質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、次章(抵当権)の規定を準用する。
第四節 権利質
(権利質の目的等)
第三百六十二条 質権は、財産権をその目的とすることができる。
2 前項の質権については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、前三節(総則、動産質及び不動産質)の規定を準用する。
第三百六十三条 削除
(債権を目的とする質権の対抗要件)
第三百六十四条 債権を目的とする質権の設定(現に発生していない債権を目的とするものを含む。)は、第四百六十七条の規定に従い、第三債務者にその質権の設定を通知し、又は第三債務者がこれを承諾しなければ、これをもって第三債務者その他の第三者に対抗することができない。
第三百六十五条 削除
(質権者による債権の取立て等)
第三百六十六条 質権者は、質権の目的である債権を直接に取り立てることができる。
2 債権の目的物が金銭であるときは、質権者は、自己の債権額に対応する部分に限り、これを取り立てることができる。
3 前項の債権の弁済期が質権者の債権の弁済期前に到来したときは、質権者は、第三債務者にその弁済をすべき金額を供託させることができる。この場合において、質権は、その供託金について存在する。
4 債権の目的物が金銭でないときは、質権者は、弁済として受けた物について質権を有する。
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