mini記述:民法親族#2

動画内容は、下記の「ウェブテキスト版」と同一です。そのため、動画を視聴しないで、下記の「ウェブテキスト版」のみに取り組んで頂いても問題はありません。
なお、解説内容は「アザラシ式記述対策講座」のものとほぼ同一となります。

ミニ記述チャレンジ ウェブテキスト版

問題1

Aが、14歳のCと養子縁組を行う場合、Aに配偶者Bがいるときは原則としてBとともに養子縁組をしなければならない。しかし、Aは単独でCと養子縁組を行うことができた。なお、CはBの嫡出子ではない。Aはなぜ単独で養子縁組を行えたのか【Bが】に続く形で25文字程度で記述してください。

正解例
【Bが】
養子縁組に関する意思表示をすることができなかったため。(27文字)

【解説】
未成年の養子を家族として迎えるなら夫婦共同で養子縁組をすることが原則となっています。家族の一員となるのだから、その中でこっちは親で、こっちはただの同居人という状況は養子にとって好ましくないというわけです。
しかし、「配偶者の嫡出である子」であれば片方だけで養子縁組をすることができます。ようするに再婚相手の連れ子との養子縁組です。再婚相手の連れ子なら、片方だけが養子縁組をすれば問題ないのはわかりやすいですね。
また、この設問の答えとなる配偶者が意思を表示することができない場合も、片方だけで養子縁組をすることができます。これは単純に、意思表示できないならしょうがないってだけの理屈です。
なお、ここまで解説したことはあくまでも配偶者がいる場合の話しです。配偶者がいることは養子縁組をする上で必須ではないので、誤解しないようにしてくださいね。

問題2

父Aが死亡し、母Bと未成年者の子Cが相続人となった。この場合、親権者である母Bが子Cを代理して遺産分割協議をすることはできないため、母Bは家庭裁判所にある請求を行わなければならないが、その請求がなぜ必要になるのか、どのような請求なのかを【母Bが子Cの相続手続きを代理することは】に続く形で25文字程度で記述してください。

正解例
【母Bが子Cの相続手続きを代理することは】
利益相反行為となるため、特別代理人選任の請求を行う。(26文字)

【解説】
設問ではAが死亡したことにより、母Bと未成年の子Cは共に相続人という立場となっています。子どもが未成年者の場合は、通常であれば親権者である母Bが法律行為を代理するため相続手続も代わりにできそうな気がします。
しかし、母Bと子Cは同じ相続人という立場で、利益が相反する立場にあるので母Bは子Cを代理することはできません。たとえば、母Bが子Cに配慮して、子Cの取り分を多くしようとしたとしても結論は変わりません。
相続以外にも、親が借金をするときに、未成年の子ども名義の土地に抵当権を設定(親の借金のために子どもの財産を担保に出した)したところ、利益相反行為に該当するとした判例があります。
利益相反を否定した事例としては、親が子ども名義で借金をして、子ども名義の土地に抵当権を設定したものがあります。子どもの借金に、子どもの土地を担保にしただけなので利益相反行為ではないというわけです。親が子ども名義で借金するなんて、親がひどい気もするのですが親の内心は考慮しないのです。客観的にみて親と子の利益が相反しているかどうかで判断するということです。
参考判例 最高裁昭和43年10月8日

問題3

父Aが死亡し、母Bと未成年者の子Cが相続人となり、親権者の母Bが子Cを代理して遺産分割協議を行った。この場合、母Bの行った遺産分割協議は利益相反行為となる。母Bが行った行為は民法上どのような行為に該当し、有効とするためには誰からのどのような行為が必要となるのか25文字程度で記述してください。

正解例
無権代理に該当し、子Cが成年に達した後の追認が必要。(26文字)
【解説】
一つ前の設問解説で、親による利益相反行為は行えないと説明しました。しかし、現実には法律を知らずに利益相反行為をすることもあります。このようなとき、利益相反行為は無権代理とされてしまいます。つまり、代理権がないのに代理人のように行動をしたとされてしまうのです。
無権代理となるため、将来的に子どもが成年に達した後に追認をすれば有効な行為となります。
つまり、親による利益相反行為は行えないものではあるのですが、行った上で将来的に有効になる可能性もあるともいえるのです。
利益相反行為はダメというだけで終わるのではなく、それでも行ったらどうなるのかを押さえるようにしましょう。
参考判例 最高裁昭和46年4月20日

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参考条文
参考条文
民法
(無権代理)
第百十三条 代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。
2 追認又はその拒絶は、相手方に対してしなければ、その相手方に対抗することができない。ただし、相手方がその事実を知ったときは、この限りでない。
(養親となる者の年齢)
第七百九十二条 二十歳に達した者は、養子をすることができる。
(配偶者のある者が未成年者を養子とする縁組)
第七百九十五条 配偶者のある者が未成年者を養子とするには、配偶者とともにしなければならない。ただし、配偶者の嫡出である子を養子とする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
(配偶者のある者の縁組)
第七百九十六条 配偶者のある者が縁組をするには、その配偶者の同意を得なければならない。ただし、配偶者とともに縁組をする場合又は配偶者がその意思を表示することができない場合は、この限りでない。
(十五歳未満の者を養子とする縁組)
第七百九十七条 養子となる者が十五歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。
2 法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは、その同意を得なければならない。養子となる者の父母で親権を停止されているものがあるときも、同様とする。
(未成年者を養子とする縁組)
第七百九十八条 未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない。ただし、自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合は、この限りでない。
(特別養子縁組の成立)
第八百十七条の二 家庭裁判所は、次条から第八百十七条の七までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。
2 前項に規定する請求をするには、第七百九十四条又は第七百九十八条の許可を得ることを要しない。
(養親の夫婦共同縁組)
第八百十七条の三 養親となる者は、配偶者のある者でなければならない。
2 夫婦の一方は、他の一方が養親とならないときは、養親となることができない。ただし、夫婦の一方が他の一方の嫡出である子(特別養子縁組以外の縁組による養子を除く。)の養親となる場合は、この限りでない。
(養親となる者の年齢)
第八百十七条の四 二十五歳に達しない者は、養親となることができない。ただし、養親となる夫婦の一方が二十五歳に達していない場合においても、その者が二十歳に達しているときは、この限りでない。
(養子となる者の年齢)
第八百十七条の五 第八百十七条の二に規定する請求の時に十五歳に達している者は、養子となることができない。特別養子縁組が成立するまでに十八歳に達した者についても、同様とする。
2 前項前段の規定は、養子となる者が十五歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されている場合において、十五歳に達するまでに第八百十七条の二に規定する請求がされなかったことについてやむを得ない事由があるときは、適用しない。
3 養子となる者が十五歳に達している場合においては、特別養子縁組の成立には、その者の同意がなければならない。
(父母の同意)
第八百十七条の六 特別養子縁組の成立には、養子となる者の父母の同意がなければならない。ただし、父母がその意思を表示することができない場合又は父母による虐待、悪意の遺棄その他養子となる者の利益を著しく害する事由がある場合は、この限りでない。
(子の利益のための特別の必要性)
第八百十七条の七 特別養子縁組は、父母による養子となる者の監護が著しく困難又は不適当であることその他特別の事情がある場合において、子の利益のため特に必要があると認めるときに、これを成立させるものとする。
(監護の状況)
第八百十七条の八 特別養子縁組を成立させるには、養親となる者が養子となる者を六箇月以上の期間監護した状況を考慮しなければならない。
2 前項の期間は、第八百十七条の二に規定する請求の時から起算する。ただし、その請求前の監護の状況が明らかであるときは、この限りでない。
(実方との親族関係の終了)
第八百十七条の九 養子と実方の父母及びその血族との親族関係は、特別養子縁組によって終了する。ただし、第八百十七条の三第二項ただし書に規定する他の一方及びその血族との親族関係については、この限りでない。
(監護及び教育の権利義務)
第八百二十条 親権を行う者は、子の利益のために子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う。
(子の人格の尊重等)
第八百二十一条 親権を行う者は、前条の規定による監護及び教育をするに当たっては、子の人格を尊重するとともに、その年齢及び発達の程度に配慮しなければならず、かつ、体罰その他の子の心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動をしてはならない。
(居所の指定)
第八百二十二条 子は、親権を行う者が指定した場所に、その居所を定めなければならない。
(職業の許可)
第八百二十三条 子は、親権を行う者の許可を得なければ、職業を営むことができない。
2 親権を行う者は、第六条第二項の場合には、前項の許可を取り消し、又はこれを制限することができる。
(財産の管理及び代表)
第八百二十四条 親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する。ただし、その子の行為を目的とする債務を生ずべき場合には、本人の同意を得なければならない。
(父母の一方が共同の名義でした行為の効力)
第八百二十五条 父母が共同して親権を行う場合において、父母の一方が、共同の名義で、子に代わって法律行為をし又は子がこれをすることに同意したときは、その行為は、他の一方の意思に反したときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方が悪意であったときは、この限りでない。
(利益相反行為)
第八百二十六条 親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2 親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
(財産の管理における注意義務)
第八百二十七条 親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、その管理権を行わなければならない。
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