ミニ記述チャレンジ ウェブテキスト版
問題1
A市内を流れる河川についてA市は法律上の管理権をもっていなかった。しかし、A市は住民の要望に応える形で当該河川について改修工事するなどしていた中で、当該河川の瑕疵により住民Bに損害を与えた。この場合は、A市は管理権をもたないにもかかわらずBに賠償する責任を負うがそれはなぜか20~25文字程度で記述してください。
正解例
A市が当該河川を事実上管理していたため。(20文字)
A市が当該河川を事実上管理することになったため。(25文字)
【解説】
国家賠償法1条で規定されている「公権力の行使」には公の営造物の設置・管理に関するものは含まれません。しかし、公の営造物の設置・管理に関しては国家賠償法2条で規定されているのです。
そして、2条の規定では国などの「故意・過失」は問われません。瑕疵があれば、それで国などは責任を負います。そのため、2条で負う責任は無過失責任となります。ただし、地震など損害を回避する可能性がないような不可抗力の場合にまでは責任を負わない点には注意してください。
また、この解答のとおり公の営造物を管理しているかどうかは、法令の規定によるものだけとは限りません。法令に「管理する」という規定がなくても、国や公共団体などが事実上管理しているのなら、その営造物に瑕疵があれば損害賠償責任を負うことになるのです。
参考判例 最高裁昭和59年11月29日
A市が当該河川を事実上管理していたため。(20文字)
A市が当該河川を事実上管理することになったため。(25文字)
【解説】
国家賠償法1条で規定されている「公権力の行使」には公の営造物の設置・管理に関するものは含まれません。しかし、公の営造物の設置・管理に関しては国家賠償法2条で規定されているのです。
そして、2条の規定では国などの「故意・過失」は問われません。瑕疵があれば、それで国などは責任を負います。そのため、2条で負う責任は無過失責任となります。ただし、地震など損害を回避する可能性がないような不可抗力の場合にまでは責任を負わない点には注意してください。
また、この解答のとおり公の営造物を管理しているかどうかは、法令の規定によるものだけとは限りません。法令に「管理する」という規定がなくても、国や公共団体などが事実上管理しているのなら、その営造物に瑕疵があれば損害賠償責任を負うことになるのです。
参考判例 最高裁昭和59年11月29日
問題2
Aは公園の遊具で遊んでいたが、遊具の瑕疵で怪我をした。この公園の設置・管理は八王子市が行っており、設置の費用は八王子市が負担していた。このような場合、Aが国家賠償法に基づく損害賠償請求で八王子市以外に、東京都を被告とできるのはどのような場合か【公園の】に続く形で20文字程度で記述してください。
正解例
【公園の】
遊具の管理費用を東京都が負担していた場合。(21文字)
【解説】
公の営造物の設置者・管理者ではないとしても、その費用を負担する者が別にいる場合は、その費用負担者も損害賠償責任を負います。
そのため、設問のAは設置・管理していた八王子市を訴えてもよいし、東京都が管理費用を負担していたのなら東京都を訴えてもよいのです。設問では管理費用を東京都が負担していた場合を想定していますが、設置費用を東京都が負担していた場合も結論は同じです。
ちなみに、公の営造物の費用負担者の場合だけではなく、公務員が違法なことをしたときも、所属先の公共団体だけではなく、給料の支払いをする公共団体も損害賠償責任を負うことになります。
なお、設問の例で仮に東京都が損害賠償をした場合は、東京都は八王子市に求償をすることが可能となっていることも知っておいてくださいね。
【公園の】
遊具の管理費用を東京都が負担していた場合。(21文字)
【解説】
公の営造物の設置者・管理者ではないとしても、その費用を負担する者が別にいる場合は、その費用負担者も損害賠償責任を負います。
そのため、設問のAは設置・管理していた八王子市を訴えてもよいし、東京都が管理費用を負担していたのなら東京都を訴えてもよいのです。設問では管理費用を東京都が負担していた場合を想定していますが、設置費用を東京都が負担していた場合も結論は同じです。
ちなみに、公の営造物の費用負担者の場合だけではなく、公務員が違法なことをしたときも、所属先の公共団体だけではなく、給料の支払いをする公共団体も損害賠償責任を負うことになります。
なお、設問の例で仮に東京都が損害賠償をした場合は、東京都は八王子市に求償をすることが可能となっていることも知っておいてくださいね。
参考条文
国家賠償法
第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
第二条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。
第三条 前二条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する。
第四条 国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法の規定による。
第五条 国又は公共団体の損害賠償の責任について民法以外の他の法律に別段の定があるときは、その定めるところによる。
第六条 この法律は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用する。
国家賠償法
第一条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。
第二条 道路、河川その他の公の営造物の設置又は管理に瑕疵があつたために他人に損害を生じたときは、国又は公共団体は、これを賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、他に損害の原因について責に任ずべき者があるときは、国又は公共団体は、これに対して求償権を有する。
第三条 前二条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。
② 前項の場合において、損害を賠償した者は、内部関係でその損害を賠償する責任ある者に対して求償権を有する。
第四条 国又は公共団体の損害賠償の責任については、前三条の規定によるの外、民法の規定による。
第五条 国又は公共団体の損害賠償の責任について民法以外の他の法律に別段の定があるときは、その定めるところによる。
第六条 この法律は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用する。
民法
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
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