ミニ記述チャレンジ ウェブテキスト版
問題1
税務署長Aが、自分探し中のB(無職)に間違った課税処分を行った。この場合であっても当該課税処分は、権限を有する行政機関などに取消されるまで有効な行政行為として扱われる。これを公定力というが、公定力が働かず当該課税処分が無効となるのはどのようなものである場合か20文字程度で記述してください。
正解例
当該課税処分の違法が重大かつ明白な場合。(20文字)
【解説】
行政は必ず正しいことをするわけではありません。職員の凡ミスもあれば、能力の低い職員が誤ったことをすることもあるし、悪意のある職員が悪意をもって嫌がらせとして行政行為をしてくることもあります。
国民にとっては迷惑な話しですが、上記のような誤った違法な行政行為だとしても、権限のある行政機関に取消されるまでは有効な行政行為となってしまいます。とはいえ、ミスや悪意があまりにひどくて違法が、重大かつ明白な場合は無効とされます。
ようするに、行政行為としてしたことはなにをやっても基本的には有効で、ものすごくひどい場合は無効になるというわけです。
このような行政行為の効力を公定力というので、意味と合わせて覚えておきましょう。
参考判例 最高裁昭和30年12月26日
当該課税処分の違法が重大かつ明白な場合。(20文字)
【解説】
行政は必ず正しいことをするわけではありません。職員の凡ミスもあれば、能力の低い職員が誤ったことをすることもあるし、悪意のある職員が悪意をもって嫌がらせとして行政行為をしてくることもあります。
国民にとっては迷惑な話しですが、上記のような誤った違法な行政行為だとしても、権限のある行政機関に取消されるまでは有効な行政行為となってしまいます。とはいえ、ミスや悪意があまりにひどくて違法が、重大かつ明白な場合は無効とされます。
ようするに、行政行為としてしたことはなにをやっても基本的には有効で、ものすごくひどい場合は無効になるというわけです。
このような行政行為の効力を公定力というので、意味と合わせて覚えておきましょう。
参考判例 最高裁昭和30年12月26日
問題2
A県公安委員会はBに対して、運転免許証を交付した。しかし、実はBは大人っぽいだけで15歳であり、Bの得た運転免許は瑕疵ある行政行為であった。当該行政行為はどのような扱いをされるのか25文字程度で記述してください。
正解例
取消しの対象となり最初からなかったものとみなされる。(26文字)
取消しの対象となり遡及して行政行為の効力が否定される。(27文字)
【解説】
設問の年齢を誤った運転免許証の交付は、最初から違法な行政行為となります。最初から違法であれば、最初から効力をなくすべきですよね。
そこで、行われるのが行政行為の取消しです。行政庁が自分で気がついて取消す職権取消しをする場合もあれば、審査請求などの裁決で取消しをする場合もありますし、裁判所が判決で取消しをする場合もあります。
いずれにしても、最初から違法だったのだから、最初から効力をなくすのが取消しになることを押さえておきましょう。
取消しの対象となり最初からなかったものとみなされる。(26文字)
取消しの対象となり遡及して行政行為の効力が否定される。(27文字)
【解説】
設問の年齢を誤った運転免許証の交付は、最初から違法な行政行為となります。最初から違法であれば、最初から効力をなくすべきですよね。
そこで、行われるのが行政行為の取消しです。行政庁が自分で気がついて取消す職権取消しをする場合もあれば、審査請求などの裁決で取消しをする場合もありますし、裁判所が判決で取消しをする場合もあります。
いずれにしても、最初から違法だったのだから、最初から効力をなくすのが取消しになることを押さえておきましょう。
問題3
A県公安委員会は立派な18歳になったBに対して、運転免許証を交付した。しかし、Bの中身は子ども同然で暴走行為などの交通違反を繰り返して運転免許は取消された。このような、取消しは講学上は何といい、行政行為の効力はどうなるのか【運転免許の取消しは講学上、】に続く形で20~25文字程度で記述してください。
正解例
【運転免許の取消しは講学上、】
撤回といい、効力を将来に向かって失わせる。(21文字)
撤回といい、撤回の時から将来に向かって効力を失わせる。(27文字)
【解説】
一つ前の設問では、運転免許を取れない年齢なのに誤って運転免許証を交付したという事例でした。これは行政行為の成立時に瑕疵があるものです。そのため、取消しを行えるというものでしたね。
それに対して、この設問の事例では行政行為の成立時に瑕疵はありません。Bは18歳になっていますし、きちんと試験をクリアして運転免許証を交付されたわけです。
ところが、Bは運転免許証を瑕疵なく交付された後に、暴走行為を繰り返して免許取消しとなっています。この「免許取消し」は取消しとはいっても、撤回なのです。撤回だからこそ、Bは将来に向かって運転免許の効力を失うだけなんです。
仮に、設問のBの免許取消しが言葉とおりの取消しだとすれば、Bは免許取消しにより、免許取得の成立時に遡って効力を失います。つまり、Bは無免許運転をずっとしていたことになってしまうのです。確かにBに問題は多いのでしょうが、瑕疵なく受け取った運転免許を後からなかったことにされるのはおかしいです。
取消しと撤回の違いについて、しっかりと理解できるようにしていきましょう。
【運転免許の取消しは講学上、】
撤回といい、効力を将来に向かって失わせる。(21文字)
撤回といい、撤回の時から将来に向かって効力を失わせる。(27文字)
【解説】
一つ前の設問では、運転免許を取れない年齢なのに誤って運転免許証を交付したという事例でした。これは行政行為の成立時に瑕疵があるものです。そのため、取消しを行えるというものでしたね。
それに対して、この設問の事例では行政行為の成立時に瑕疵はありません。Bは18歳になっていますし、きちんと試験をクリアして運転免許証を交付されたわけです。
ところが、Bは運転免許証を瑕疵なく交付された後に、暴走行為を繰り返して免許取消しとなっています。この「免許取消し」は取消しとはいっても、撤回なのです。撤回だからこそ、Bは将来に向かって運転免許の効力を失うだけなんです。
仮に、設問のBの免許取消しが言葉とおりの取消しだとすれば、Bは免許取消しにより、免許取得の成立時に遡って効力を失います。つまり、Bは無免許運転をずっとしていたことになってしまうのです。確かにBに問題は多いのでしょうが、瑕疵なく受け取った運転免許を後からなかったことにされるのはおかしいです。
取消しと撤回の違いについて、しっかりと理解できるようにしていきましょう。
【取消しと撤回の違い まとめ】
原因 | 法律の根拠 | 効果 | 補償 | |
取消し | 最初から違法 | 不要 | 当初に遡る | 不要 |
撤回 | 最初は適法 | 不要 | 将来に向かう | 相手が対価支払いの場合は補償の可能性あり |
問題4
行政行為の取消し・撤回に法律の根拠は不要である。しかし、授益的行政行為の取消し・撤回については一定の制限が必要とされている。授益的行政行為の取消し・撤回はどのような場合にだけ認められるべきか【相手方が受ける】に続く形で25文字程度で記述してください。
正解例
【相手方が受ける】
不利益を考慮しても、なお公益上の必要性が高い場合。(25文字)
【解説】
行政行為の取消し・撤回はいずれも法律の根拠は必要なく行えます。しかし、そうはいっても取消し・撤回で困る国民が出てくる場合もあります。
たとえば、補助金の交付決定を受けたのに、それをいきなり取消されたら国民側は困ります。つまり、国民が喜ぶ行政行為は簡単に取消し・撤回をさせてはダメなのです。このような国民が喜ぶ行政行為を、授益的行政行為といいます。授益的行政行為の取消し・撤回は、公益上の必要性が高い場合にだけ認められるわけです。
反対に、国民が困る行政行為は、いきなり取消しをされても国民は嬉しいだけです。だから、国民が困る行政行為は簡単に取消し・撤回をしても構いません。このような国民が困る行政行為を、侵害的行政行為といいます。侵害的行政行為は、簡単に取消し・撤回をしてよいことになるわけです。
授益的行政行為と、侵害的行政行為はその言葉から難しく感じます。しかし、「授益的行政行為=国民が喜ぶ行政行為」「侵害的行政行為=国民が困る行政行為」と考えれば、なぜ取消し・撤回の扱いに違いがあるのかも簡単に理解できるはずです。
参考判例 最高裁昭和63年6月17日
【相手方が受ける】
不利益を考慮しても、なお公益上の必要性が高い場合。(25文字)
【解説】
行政行為の取消し・撤回はいずれも法律の根拠は必要なく行えます。しかし、そうはいっても取消し・撤回で困る国民が出てくる場合もあります。
たとえば、補助金の交付決定を受けたのに、それをいきなり取消されたら国民側は困ります。つまり、国民が喜ぶ行政行為は簡単に取消し・撤回をさせてはダメなのです。このような国民が喜ぶ行政行為を、授益的行政行為といいます。授益的行政行為の取消し・撤回は、公益上の必要性が高い場合にだけ認められるわけです。
反対に、国民が困る行政行為は、いきなり取消しをされても国民は嬉しいだけです。だから、国民が困る行政行為は簡単に取消し・撤回をしても構いません。このような国民が困る行政行為を、侵害的行政行為といいます。侵害的行政行為は、簡単に取消し・撤回をしてよいことになるわけです。
授益的行政行為と、侵害的行政行為はその言葉から難しく感じます。しかし、「授益的行政行為=国民が喜ぶ行政行為」「侵害的行政行為=国民が困る行政行為」と考えれば、なぜ取消し・撤回の扱いに違いがあるのかも簡単に理解できるはずです。
参考判例 最高裁昭和63年6月17日
参考条文
なし
なし
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