mini記述:行政法総論#1

動画内容は、下記の「ウェブテキスト版」と同一です。そのため、動画を視聴しないで、下記の「ウェブテキスト版」のみに取り組んで頂いても問題はありません。
なお、解説内容は「アザラシ式記述対策講座」のものとほぼ同一となります。

ミニ記述チャレンジ ウェブテキスト版

問題1

行政活動は、国会が制定した法律に基づく必要があることを法律の留保の原則という。そして、すべての行政活動に法律の根拠を求めるのではなく、一定の場合にのみ法律の根拠を求めるべきとする説を侵害留保説というが、一定の場合とはどのようなものか20文字程度で記述してください。

正解例
国民の権利・自由を侵害する場合。(16文字)
【解説】
法律の留保の原則は、法律による行政の原理に含まれるものの中で一番重要なものです。試験対策的にも重要なので、概要について掴んでおきたいところです。
法律の留保の原則は、行政活動は法律に基づいてするべきだという考え方です。たとえば、結婚をするときに婚姻届出を行政機関に行いますが、なぜこれをするのかというと戸籍法に記載されているからです。決して、行政機関がなんの根拠もなしに「婚姻届出をしろ!」と言っているわけではないのです。とはいえ、行政活動は本当に様々なことをしなければなりません。その活動のすべてに法律の根拠を求めるのは現実的ではないのも事実です。
そこで、国民の権利・自由を侵害する行政活動だけに、法律の根拠を求めるべきだとする考え方があり、これを侵害留保説といいます。基本的には、判例や現場実務は侵害留保説に基づいている状態です。国民にマイナスなら法律の根拠が必要で、プラスなら不要とシンプルに考えておきましょう。
参考判例 最高裁 昭和55年9月22日

問題2

行政立法は、行政法学上の分類によると、法規命令と行政規則に分類される。法規命令は国民の権利義務に関わるものであり委任命令と執行命令が含まれるが、行政規則はどのようなものか20~25文字程度で記述してください。

正解例
国民の権利義務に直接的な影響を与えないもの。(22文字)
行政組織内部の命令で国民の権利義務には関係しないもの。(27文字)

【解説】
法規命令は国民の権利義務にかかわるので、国民目線では法律みたいなものです。それに対して、行政規則はお役所内部の決まりごとなので、国民目線で気にすることはほぼないものです。
法規命令は、国民目線では法律に近いので法律の根拠が必要です。行政規則はお役所内部の決まりごとなので、法律の根拠は必要ないわけです。
法規命令と行政規則がどのようなものかを知ることで、その違いも覚えやすくなります。上記の違いを押さえるようにしてくださいね。

問題3

薬事法の委任により、薬事法施行規則で医薬品の郵便販売等を禁止した。しかし、このような薬事法施行規則の規定は無効とされてしまった。なぜ無効とされたのか25文字程度で記述してください。

正解例
薬事法の委任の範囲を逸脱した違法なものであったため。(26文字)
【解説】
設問は、いわゆる医薬品ネット販売事件と言われる判例を元にしたものです。
まず、医薬品の販売については薬事法という法律が様々なことを規定しています。しかし、薬事法にはネット販売の規制については規定されていませんでした。
そして、薬事法の委任を受けて、薬事法施行規則でさらに細かいことを規定していくわけですが、この薬事法施行規則にネット販売などが規制されることが規定されていたのです。
結論としては、薬事法施行規則のネット販売規制は、薬事法の委任の範囲を逸脱していて無効とされました。
施行規則は、法律と同じように国民の権利義務を制限するものになるので、法律から委任された範囲をきちんと守らないとダメというわけですね。
参考判例 最高裁平成25年1月11日

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参考条文
なし
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ミニ記述 行政法総論編
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