ミニ記述チャレンジ ウェブテキスト版
問題1
焼肉店を経営するAは、焼肉店の営業停止処分を受け、その後審査請求を行い棄却裁決を受けた。この場合、原処分主義によりAは裁決の取消訴訟においてできないことがあるがそれはなにか25文字程度で記述してください。
正解例
原処分の違法を理由として、裁決の取消しを求めること。(26文字)
【解説】
設問のAは、営業停止処分を受けて、さらに審査請求をして棄却裁決を受けています。つまり、Aは次の2つの不満をもっているわけです。
1.「営業停止処分はおかしい!」
2.「審査請求の裁決がおかしい!」
このときAは、1と2どちらの不満を対象にしても訴えることができます。しかし、2の不満で取消訴訟を起こしたのなら、「裁決のここがおかしい!」としか主張できないのです。1の不満を追及したいのなら、1の不満に対して取消訴訟を提起しないといけないわけです。
以上を原処分主義といって、行政事件訴訟法の原則的なルールとなります。
ただし、法律で「1の不満での訴えはできない」と規定されていることもあります。このときは、2の不満を訴えることしかできないので、その中で「2の裁決はおかしい!そして、1の処分もおかしい」と両方のおかしいところを主張できるのです。これは、裁決の取消ししか提起できないので裁決主義といわれるものとなります。
原処分の違法を理由として、裁決の取消しを求めること。(26文字)
【解説】
設問のAは、営業停止処分を受けて、さらに審査請求をして棄却裁決を受けています。つまり、Aは次の2つの不満をもっているわけです。
1.「営業停止処分はおかしい!」
2.「審査請求の裁決がおかしい!」
このときAは、1と2どちらの不満を対象にしても訴えることができます。しかし、2の不満で取消訴訟を起こしたのなら、「裁決のここがおかしい!」としか主張できないのです。1の不満を追及したいのなら、1の不満に対して取消訴訟を提起しないといけないわけです。
以上を原処分主義といって、行政事件訴訟法の原則的なルールとなります。
ただし、法律で「1の不満での訴えはできない」と規定されていることもあります。このときは、2の不満を訴えることしかできないので、その中で「2の裁決はおかしい!そして、1の処分もおかしい」と両方のおかしいところを主張できるのです。これは、裁決の取消ししか提起できないので裁決主義といわれるものとなります。
問題2
原則として条例制定に処分性は認められないが、特定の保育所の廃止のみを内容とする条例制定は、処分性が認められ取消訴訟の対象となる。上記条例制定は特定の児童・保護者らが期待し得る法的地位を奪う結果を生じるものであるが、それがなぜ処分性が認められる要因となるのか、【当該条例制定は、】に続く形で20文字程度で記述してください。
正解例
【当該条例制定は、】
行政庁の処分と実質的に同視し得るため。(19文字)
【解説】
この設問は、条例制定について処分性ありと判断された判例を元にしています。
しかし、大前提として条例制定に処分性はありません。通常は、条例を制定したからといって、限られた範囲の住民に有無を言わさず損害を与えることはないからです。
設問の事例は、特定の保育所の廃止のみを目的に制定させようとした条例なので、限られた範囲の親子の保育を受けることを期待する法的利益を奪ったと判断されたのです。
結局のところ、条例制定といいながらも、やっていることは行政庁の処分として保育所を閉鎖させることと変わらないことだったので処分性ありと判断されたわけです。
条例制定は原則として処分性はないけど、ケースによっては処分性ありとされることがあると覚えておきましょう。
参考判例 最高裁平成21年11月26日
【当該条例制定は、】
行政庁の処分と実質的に同視し得るため。(19文字)
【解説】
この設問は、条例制定について処分性ありと判断された判例を元にしています。
しかし、大前提として条例制定に処分性はありません。通常は、条例を制定したからといって、限られた範囲の住民に有無を言わさず損害を与えることはないからです。
設問の事例は、特定の保育所の廃止のみを目的に制定させようとした条例なので、限られた範囲の親子の保育を受けることを期待する法的利益を奪ったと判断されたのです。
結局のところ、条例制定といいながらも、やっていることは行政庁の処分として保育所を閉鎖させることと変わらないことだったので処分性ありと判断されたわけです。
条例制定は原則として処分性はないけど、ケースによっては処分性ありとされることがあると覚えておきましょう。
参考判例 最高裁平成21年11月26日
問題3
A市が水道料金を一般的に改定する条例制定を行った。当該条例制定は、特定の者に対してのみ適用されるものではなかったが、市民Bは取消訴訟を提起した。市民Bが提起した取消訴訟について、どのような判決が出されるのか、理由とともに【当該条例制定は、】に続く形で20文字程度で記述してください。
正解例
【当該条例制定は、】
処分性を欠くため却下判決が出される。(18文字)
処分性を認められないため却下判決が出される。(22文字)
【解説】
一つ前の設問とは逆に、条例制定が処分性はないとされたものです。
保育所の条例制定では、特定の住民だけに影響が出るものでした。ところが、この設問の水道料金に関する条例制定は、特定の住民を狙い撃ちにするものではありません。そのため、処分性はないとされたわけです。
そして、処分性がないのに取消訴訟を起こしたのなら、門前払いとして却下判決が出されるのです。
処分性の有無と、ない場合は却下判決が出されることを押さえておきましょう。
参考判例 最高裁平成18年7月14日
【当該条例制定は、】
処分性を欠くため却下判決が出される。(18文字)
処分性を認められないため却下判決が出される。(22文字)
【解説】
一つ前の設問とは逆に、条例制定が処分性はないとされたものです。
保育所の条例制定では、特定の住民だけに影響が出るものでした。ところが、この設問の水道料金に関する条例制定は、特定の住民を狙い撃ちにするものではありません。そのため、処分性はないとされたわけです。
そして、処分性がないのに取消訴訟を起こしたのなら、門前払いとして却下判決が出されるのです。
処分性の有無と、ない場合は却下判決が出されることを押さえておきましょう。
参考判例 最高裁平成18年7月14日
参考条文
行政事件訴訟法
(抗告訴訟)
第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
4 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。
5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。
一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。
二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。
(原告適格)
第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
(取消しの理由の制限)
第十条 取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。
2 処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。
(被告適格等)
第十一条 処分又は裁決をした行政庁(処分又は裁決があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁。以下同じ。)が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者を被告として提起しなければならない。
一 処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体
二 裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体
2 処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければならない。
3 前二項の規定により被告とすべき国若しくは公共団体又は行政庁がない場合には、取消訴訟は、当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体を被告として提起しなければならない。
4 第一項又は前項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟を提起する場合には、訴状には、民事訴訟の例により記載すべき事項のほか、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める行政庁を記載するものとする。
一 処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁
二 裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁
5 第一項又は第三項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟が提起された場合には、被告は、遅滞なく、裁判所に対し、前項各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める行政庁を明らかにしなければならない。
6 処分又は裁決をした行政庁は、当該処分又は裁決に係る第一項の規定による国又は公共団体を被告とする訴訟について、裁判上の一切の行為をする権限を有する。
行政事件訴訟法
(抗告訴訟)
第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
4 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。
5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。
一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。
二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。
(原告適格)
第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
(取消しの理由の制限)
第十条 取消訴訟においては、自己の法律上の利益に関係のない違法を理由として取消しを求めることができない。
2 処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合には、裁決の取消しの訴えにおいては、処分の違法を理由として取消しを求めることができない。
(被告適格等)
第十一条 処分又は裁決をした行政庁(処分又は裁決があつた後に当該行政庁の権限が他の行政庁に承継されたときは、当該他の行政庁。以下同じ。)が国又は公共団体に所属する場合には、取消訴訟は、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める者を被告として提起しなければならない。
一 処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁の所属する国又は公共団体
二 裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁の所属する国又は公共団体
2 処分又は裁決をした行政庁が国又は公共団体に所属しない場合には、取消訴訟は、当該行政庁を被告として提起しなければならない。
3 前二項の規定により被告とすべき国若しくは公共団体又は行政庁がない場合には、取消訴訟は、当該処分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体を被告として提起しなければならない。
4 第一項又は前項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟を提起する場合には、訴状には、民事訴訟の例により記載すべき事項のほか、次の各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める行政庁を記載するものとする。
一 処分の取消しの訴え 当該処分をした行政庁
二 裁決の取消しの訴え 当該裁決をした行政庁
5 第一項又は第三項の規定により国又は公共団体を被告として取消訴訟が提起された場合には、被告は、遅滞なく、裁判所に対し、前項各号に掲げる訴えの区分に応じてそれぞれ当該各号に定める行政庁を明らかにしなければならない。
6 処分又は裁決をした行政庁は、当該処分又は裁決に係る第一項の規定による国又は公共団体を被告とする訴訟について、裁判上の一切の行為をする権限を有する。
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