ミニ記述チャレンジ ウェブテキスト版
問題1
審査請求人Aから執行停止の申立てがあり、処分、処分の執行又は手続きの続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めれたため、審査庁Bは執行停止をしなければならない状況となった。しかし、Aの審査請求は認容される可能性があるとはいえ、執行停止をしなくてもよい要件に該当したため執行停止は行われなかった。なぜ執行停止が行わなかったのか、【執行停止をすると】に続く形で25文字程度で記述してください。
正解例
【執行停止をすると】
公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあったため。(25文字)
【解説】
まず、大前提として重大な損害を避けるために、緊急の必要があるのであれば、執行停止をするのが原則です。行政庁の処分によって、重大な損害を生み出してはいけないわけです。
ところが、個人の重大な損害よりも優先されるのが公共の福祉です。個人よりも、公共の福祉に重大な影響があるのなら執行停止をする必要はありません。
また、そもそも審査請求人の負けが濃厚(=理由がない)なのであれば、重大な損害が出ても自業自得なので執行停止をする必要がありません。しかし、これについては設問のAの審査請求は認容される可能性がある(=理由があった)状態なので解答を書くときに考慮する必要はないものでしたね。
【執行停止をすると】
公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあったため。(25文字)
【解説】
まず、大前提として重大な損害を避けるために、緊急の必要があるのであれば、執行停止をするのが原則です。行政庁の処分によって、重大な損害を生み出してはいけないわけです。
ところが、個人の重大な損害よりも優先されるのが公共の福祉です。個人よりも、公共の福祉に重大な影響があるのなら執行停止をする必要はありません。
また、そもそも審査請求人の負けが濃厚(=理由がない)なのであれば、重大な損害が出ても自業自得なので執行停止をする必要がありません。しかし、これについては設問のAの審査請求は認容される可能性がある(=理由があった)状態なので解答を書くときに考慮する必要はないものでしたね。
問題2
審査庁が上級行政庁又は処分庁のいずれでもない場合も、審査請求人の申立てにより、処分の効力、処分の執行又は手続きの続行の全部又は一部の停止(以下、「執行停止」と記載)を行うことができる。しかし、執行停止をするためには事前に一定の手続きを行う必要がある。執行停止を行うためにどのような手続きが必要となるのか20文字程度で記述してください。
正解例
審査庁による処分庁からの意見聴取。(17文字)
【解説】
上級行政庁や、処分庁でない第三者的な立場の行政庁が審査庁となった場合でも、執行停止を行うことはできます。
しかし、職権での執行停止はできません。審査請求人からの申立てがあってはじめて執行停止ができます。とはいえ、この場合でも処分庁の意見を聴く義務が発生するのです。
結局のところ、あくまでも第三者的な立場の行政庁なので、その処分に関して勝手にいろいろすることはできないよというわけです。
ちなみに、できることは「全部または一部の停止」だけです。上級行政庁や、処分庁なら行うことのできる「その他の措置」はできない点に注意してくださいね。
審査庁による処分庁からの意見聴取。(17文字)
【解説】
上級行政庁や、処分庁でない第三者的な立場の行政庁が審査庁となった場合でも、執行停止を行うことはできます。
しかし、職権での執行停止はできません。審査請求人からの申立てがあってはじめて執行停止ができます。とはいえ、この場合でも処分庁の意見を聴く義務が発生するのです。
結局のところ、あくまでも第三者的な立場の行政庁なので、その処分に関して勝手にいろいろすることはできないよというわけです。
ちなみに、できることは「全部または一部の停止」だけです。上級行政庁や、処分庁なら行うことのできる「その他の措置」はできない点に注意してくださいね。
【執行停止 まとめ】
審査庁 |
執行停止できる場合 | その他の措置 | 処分庁への意見聴取 |
上級行政庁 |
職権 or 申立て | できる |
必要なし |
その他の行政庁 | 申立て | できない |
必要あり |
参考条文
行政不服審査法
(執行停止)
第二十五条 審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
2 処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をとることができる。
3 処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができる。ただし、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止以外の措置をとることはできない。
4 前二項の規定による審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。
5 審査庁は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
6 第二項から第四項までの場合において、処分の効力の停止は、処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるときは、することができない。
7 執行停止の申立てがあったとき、又は審理員から第四十条に規定する執行停止をすべき旨の意見書が提出されたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。
(執行停止の取消し)
第二十六条 執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。
行政不服審査法
(執行停止)
第二十五条 審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
2 処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をとることができる。
3 処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができる。ただし、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止以外の措置をとることはできない。
4 前二項の規定による審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。
5 審査庁は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
6 第二項から第四項までの場合において、処分の効力の停止は、処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるときは、することができない。
7 執行停止の申立てがあったとき、又は審理員から第四十条に規定する執行停止をすべき旨の意見書が提出されたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。
(執行停止の取消し)
第二十六条 執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。
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