民法 総則編#13 「錯誤(意思表示)」解説

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確かめ問題

問題1

AがX建物を買おうとした際に、誤って隣Y建物を買いたいと告げることは表示の錯誤となる。

答え 〇
意思表示に対応する意思を欠いているため、表示の錯誤になる。

問題2

動機の錯誤による売買契約の取消しは認められない。

答え ×
動機が示されている場合は、動機の錯誤でも取消しが認められる。ただし、重過失がある場合は認められない。

問題3

新幹線の駅ができる見込みであることを理由に土地を買う場合に、実際には新幹線の駅ができる見込みがまったくない場合は、動機の錯誤があったことになる。

答え 〇
土地を買おうとする動機の部分に勘違いがあったのであれば、動機の錯誤になる。

問題4

表意者に重過失がある場合は、錯誤による取消しの主張は行えない。

正解 ×
表意者に重過失がある場合であっても、相手方が表意者に錯誤があることを知っていたり、重過失によって知らなかったりした場合などは取消しを主張できる。
問題5 

表意者が取消しを主張できる場合であっても、事情を知らない第三者に対しては、その第三者に過失があっても取消しを主張できない。

答え ×
第三者が保護されるためには、善意かつ無過失である必要がある。そのため、第三者が善意でも過失があるのなら取消しを主張できる。
以下で、第三者が保護される要件を確認しておきましょう。
【第三者が保護される要件の違い】
・心裡留保による無効の第三者→善意のみでOK
・虚偽表示による無効の第三者→善意のみでOK
・錯誤による取消しの第三者→善意無過失
※錯誤のみ「無効」ではなく「取消し」となっている点も押さえておいてください。
問題6 アザヨビ限定問題
錯誤が契約の目的や取引上の社会通念に照らして重要なものでないと、錯誤による取消しは行えない。
正解 〇
そのとおり。錯誤による取消しは、契約の目的や取引上の社会通念に照らして重要なものであるときだけ行うことができる。
問題7 アザヨビ限定問題
Aは、Bから100万円の高級マラカスを購入した。しかし、実は当該マラカスはおもちゃであり時価100円でしかなかった。Aには高級マラカスと勘違いした重過失があったが、実はBも騙すつもりはなく高級マラカスだと勘違いしていた。この場合、Aは重過失があったとしても、錯誤による売買契約を取消すことができる。
答え 〇
そのとおり。問題4でも触れているがAに重過失があったとしても、以下の場合には錯誤による取消しは可能となる。
①Aが錯誤に陥っているとBが知っていた場合(=Bの悪意)
②Aが錯誤に陥っていると重過失でBが気づけなかった場合(=Bの重過失)
③BがAと同一の錯誤に陥っているとき
設問のBは、Aと同じ錯誤に陥っていて③に該当するため、Aに重過失があったとしても取消しを主張することができることになる。
参考条文
民法
(錯誤)
第九十五条 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
一 意思表示に対応する意思を欠く錯誤
二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤
2 前項第二号の規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
3 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、第一項の規定による意思表示の取消しをすることができない。
一 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
二 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。
4 第一項の規定による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

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