ミニ記述チャレンジ ウェブテキスト版
問題1
AはBに対して、高級マラカスを贈与することを口頭で約した。このような時に、AもしくはBが贈与契約を解除できるのはどのような場合になるか20文字程度で記述してください。
正解例
高級マラカス贈与の履行が完了していないとき。(22文字)
Aによる贈与の履行が完了するまでの間。(19文字)
【解説】
贈与に関する基礎知識を問う設問となっています。普通であれば、契約は約束事なのですから守ることは義務です。ところが、口約束をしたくらいの贈与であれば、後になって「あの話しはやっぱりなかったことに!」とすることもできます。逆に言えば書面で贈与の約束をしている場合は、約束事として重くなるというわけで後になってからのキャンセルはできません。
そして、贈与と言えども契約は契約です。契約が完了(=履行が完了)してから「やっぱりなかったことに!」とすることはさすがにできないというわけですね。
高級マラカス贈与の履行が完了していないとき。(22文字)
Aによる贈与の履行が完了するまでの間。(19文字)
【解説】
贈与に関する基礎知識を問う設問となっています。普通であれば、契約は約束事なのですから守ることは義務です。ところが、口約束をしたくらいの贈与であれば、後になって「あの話しはやっぱりなかったことに!」とすることもできます。逆に言えば書面で贈与の約束をしている場合は、約束事として重くなるというわけで後になってからのキャンセルはできません。
そして、贈与と言えども契約は契約です。契約が完了(=履行が完了)してから「やっぱりなかったことに!」とすることはさすがにできないというわけですね。
問題2
AはBに対して、「この高級マラカスをBに贈与するからBのものだ」と発言しBも受け入れた。そして、その場でAはBのために高級マラカスを占有する意思も表示した。この場合、A・Bは贈与契約を解除することができないがそれはなぜか【高級マラカスについて】に続く形で25文字程度で記述してください。
正解例
【高級マラカスについて】
占有改定により、Aによる履行が完了しているため。(24文字)
【解説】
1問目の設問で、履行が終わった贈与は解除することができないと説明しました。ここで問題となるのは、なにをもって履行と判断するのかということです。
まず、動産を贈与するときの履行は引渡しです。現実の引渡しは問題ないとして、簡易の引渡しや指図による占有移転、そして占有改定まで含みます。設問のAは占有改定によりBに引き渡しているため、履行を完了しているとされるわけです。
参考判例 最高裁昭和31年1月27日
参考判例 最高裁昭和40年3月26日
【高級マラカスについて】
占有改定により、Aによる履行が完了しているため。(24文字)
【解説】
1問目の設問で、履行が終わった贈与は解除することができないと説明しました。ここで問題となるのは、なにをもって履行と判断するのかということです。
まず、動産を贈与するときの履行は引渡しです。現実の引渡しは問題ないとして、簡易の引渡しや指図による占有移転、そして占有改定まで含みます。設問のAは占有改定によりBに引き渡しているため、履行を完了しているとされるわけです。
参考判例 最高裁昭和31年1月27日
参考判例 最高裁昭和40年3月26日
問題3
AはBに対して、江戸時代に製作された一点もののマラカスを贈与することを約した。このようなマラカスを贈与するとき、履行するまでの間は贈与を行うAはどのような保管義務を負うのか、その理由とともに【一点もののマラカスは、】に続く形で25文字程度で記述してください。
正解例
【一点もののマラカスは、】
特定物に該当するため保管について善管注意義務を負う。(26文字)
【解説】
特定物債権について引渡しまで善管注意義務を負うのは、その行為が贈与であっても同じです。
設問のような江戸時代に製作されたマラカスのようなおおげさなことではなくても、中古スマホや中古自動車などでも特定物債権になるので結論は同じで、やはり善管注意義務を負います。
贈与は、贈与者Aだけが義務を負う片務契約なのですが、だからといって保管義務が軽くなることはありません。とはいえ、書面によらない贈与であれば、贈与契約を解除できるので設問の状況が書面によらない贈与であれば、Aは贈与契約を解除するだけで済むことにはなります。
【一点もののマラカスは、】
特定物に該当するため保管について善管注意義務を負う。(26文字)
【解説】
特定物債権について引渡しまで善管注意義務を負うのは、その行為が贈与であっても同じです。
設問のような江戸時代に製作されたマラカスのようなおおげさなことではなくても、中古スマホや中古自動車などでも特定物債権になるので結論は同じで、やはり善管注意義務を負います。
贈与は、贈与者Aだけが義務を負う片務契約なのですが、だからといって保管義務が軽くなることはありません。とはいえ、書面によらない贈与であれば、贈与契約を解除できるので設問の状況が書面によらない贈与であれば、Aは贈与契約を解除するだけで済むことにはなります。
参考条文
民法
(特定物の引渡しの場合の注意義務)
第四百条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
(贈与)
第五百四十九条 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
(書面によらない贈与の解除)
第五百五十条 書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
(贈与者の引渡義務等)
第五百五十一条 贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。
2 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。
(定期贈与)
第五百五十二条 定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う。
(負担付贈与)
第五百五十三条 負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。
(死因贈与)
第五百五十四条 贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
民法
(特定物の引渡しの場合の注意義務)
第四百条 債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。
(贈与)
第五百四十九条 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
(書面によらない贈与の解除)
第五百五十条 書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
(贈与者の引渡義務等)
第五百五十一条 贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。
2 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。
(定期贈与)
第五百五十二条 定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う。
(負担付贈与)
第五百五十三条 負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。
(死因贈与)
第五百五十四条 贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
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