mini記述:民法債権#4

動画内容は、下記の「ウェブテキスト版」と同一です。そのため、動画を視聴しないで、下記の「ウェブテキスト版」のみに取り組んで頂いても問題はありません。
なお、解説内容は「アザラシ式記述対策講座」のものとほぼ同一となります。

ミニ記述チャレンジ ウェブテキスト版

問題1

Aが自己所有の車を、共同したB・C・Cの3人に貸し出す賃貸借契約を結んでいた。この場合に、Aが契約解除をする意思表示はどのように行わなければならないか25文字程度で記述してください。

※Aが解除権を有することを前提としています。

正解例
Aは解除の意思表示を全員に対してしなければならない。(26文字)
B・C・Dの全員に対して解除の意思表示を行う必要がある。(28文字)

【解説】
当事者が複数人いる場合の解除は、全員から全員にしなければなりません。これを解除の不可分性というので、このキーワードもできれば覚えておきましょう。
なお、車を貸す側から解除する場合だけではなく、車を借りる側から解除する場合も全員から全員にする必要があります。
なぜこういった規定になっているのかというと、当事者の1人で解除できるとなると、そのほかの当事者が解除されたことを知らないままとなり、契約関係での争いを引き起こしてしまうからです。つまり、解除の不可分性は仲間外れを防ぐためにあるわけですね。

問題2

Aが自己所有の車を、遠隔地のBに貸出す賃貸借契約を結んでいる時に、Aは契約を解除する意思表示をした。しかし、Aは翻意し契約解除の意思表示を撤回しようとした。この場合、Aが意思表示の撤回をBの承諾なくできるのは、どのようなときまでか20文字程度で記述してください。

正解例
解除する意思表示がBに到達するまでの間。(20文字)
【解説】
解除の意思表示をしたとしても、それが相手に到達していなければ効力は生じません。相手があることなので、相手が意思表示を受け取ることで成立するわけですね。仮に目の前にいれば、喋って伝えるだけなのですぐに到達します。しかし、遠隔地の場合で通知書などで伝えるのなら少し時間がかかるわけですね。
そのため、解除の意思表示が相手方に到達するまでの間なら解除の意思表示を撤回することはできるんです。逆に言えば到達した後に、解除をしたいと言ったり、やっぱりしないと言ったりとコロコロ言うことを変えることは許されないわけですね。
しかし、上記のような場合でも相手方のBが「解除の意思表示の撤回OKだよ」と言うのであれば、解除を撤回させても別に問題ありません
解除の意思表示が生じる時期、その後の撤回の可否について明確に答えられるようにしておきましょう。

問題3

Aが自己所有の車を、Bに譲渡する売買契約を結びBに車を引渡した。しかし、その後Aが契約解除をした。この時、Bにはどのような義務が発生するか25文字程度で記述してください。

正解例
車の返還と、車を使用した利益の返還を行う原状回復義務。(27文字)
【解説】
設問の例で、Bが車を引渡されたのは売買契約が成立したため、その契約に基づき引き渡されただけです。つまり、契約自体が解除されたのなら車を返さないといけないのです。契約がなかったときの状態に戻すので、原状回復といわれます。間違えやすいところとして「現状回復」と書いてしまう人もいますので注意しましょう。
ちなみに、設問には書かれていませんがAが代金を受け取っていたのなら、Aはその代金を返還しなければいけません。
また、Bは契約が解除されるまで車を使用していたのなら、その使用したことによる利益も返還する義務があります。
使用利益は目に見えて発生するものではないのですが、Bは車を使用することで確実に利益を得ているわけです。目に見える金銭を得ているわけではなくても、車を使用する利益は発生していることになるのですね。
契約解除後の原状回復は、目に見える物やお金の返還だけではなく、使用利益も返還する必要があることを押さえておきましょう。
参考判例 最高裁昭和51年2月13日

勉強の不明点などの質問はこちらからどうぞ

参考条文
民法
(意思表示の効力発生時期等)
第九十七条 意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
2 相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げたときは、その通知は、通常到達すべきであった時に到達したものとみなす。
3 意思表示は、表意者が通知を発した後に死亡し、意思能力を喪失し、又は行為能力の制限を受けたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。
(解除権の行使)
第五百四十条 契約又は法律の規定により当事者の一方が解除権を有するときは、その解除は、相手方に対する意思表示によってする。
2 前項の意思表示は、撤回することができない。
(解除権の不可分性)
第五百四十四条 当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除は、その全員から又はその全員に対してのみ、することができる。
2 前項の場合において、解除権が当事者のうちの一人について消滅したときは、他の者についても消滅する。
(解除の効果)
第五百四十五条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
4 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
アザヨビに関する問合せ

 

※本ページに動画が掲載されている場合は、以下を使用したものとなります。

<音声について>
この動画はCeVIOプロジェクトの【さとうささら】を使用しています。

<音楽素材、効果音素材について>
音楽素材提供:Music-Note.jp http://www.music-note.jp/
*音楽素材(OP・ED曲、動画内寸劇部分・確かめ問題部分などのBGM)について、上記サイト様の素材を利用しています。

効果音等提供:効果音ラボ https://soundeffect-lab.info/
*動画中の効果音について、上記サイト様の素材を利用しています。

ミニ記述 民法債権編
azayobiをフォローする

コメント