ミニ記述チャレンジ ウェブテキスト版
問題1
AはマラカスをBに100万円で売却する売買契約を交わした。この時、Bは解約手付として10万円を交付した。この場合、Aが手付により契約解除するには誰に対して、いくらの金額をどのように提供する必要があるのか25文字程度で記述してください。
正解例
Bに対して20万円を現実に提供する必要がある。(23文字)
【解説】
手付を交付すると、手付にするという意思表示がないとしても原則として解約手付と推定されます。この設問のABは、解約手付と合意している状態です。
解約手付は、その名称のとおり契約解除をすることもできる手付です。買主Bは、手付の10万円を放棄することで解約することができます。
そして、売主Aが契約解除する場合は、手付の10万円を返還するだけでは足りず追加で10万円、つまり倍額の20万円を支払う必要があります。さらに、売主Aの倍額20万円については、現実に提供する必要がある点にも注意してください。口頭の提供では、売主Aは解約手付による契約解除はできません。
ちなみに、解約手付のルールに従った契約解除は、損害賠償請求の対象にはなりません。ルールに則った契約解除なので、どちらかに損害が出たとしてもしょうがないことなのです。
参考判例 最高裁平成6年3月22日
Bに対して20万円を現実に提供する必要がある。(23文字)
【解説】
手付を交付すると、手付にするという意思表示がないとしても原則として解約手付と推定されます。この設問のABは、解約手付と合意している状態です。
解約手付は、その名称のとおり契約解除をすることもできる手付です。買主Bは、手付の10万円を放棄することで解約することができます。
そして、売主Aが契約解除する場合は、手付の10万円を返還するだけでは足りず追加で10万円、つまり倍額の20万円を支払う必要があります。さらに、売主Aの倍額20万円については、現実に提供する必要がある点にも注意してください。口頭の提供では、売主Aは解約手付による契約解除はできません。
ちなみに、解約手付のルールに従った契約解除は、損害賠償請求の対象にはなりません。ルールに則った契約解除なので、どちらかに損害が出たとしてもしょうがないことなのです。
参考判例 最高裁平成6年3月22日
問題2
AはマラカスをBに100万円で売却する売買契約を交わした。この時、Bは解約手付として10万円を交付した。その後、Aはマラカスを売るのが嫌になり契約解除をしようと考えた。この場合に、Bが残代金支払いをしていないにもかかわらず、履行に着手しているとして手付による契約解除を行えないと主張できるのはどのような場合か25文字程度で記述してください。
正解例
Bが残代金を準備し、Aに何度も履行を求めていた場合。(26文字)
Bがしばしば履行を求め、残代金の準備をしていたとき。(27文字)
【解説】
解約手付による契約解除とはいっても、無制限に認められるわけではありません。なぜなら、相手方が契約とおりに実行しているのに、契約解除をすると相手方の損害が大きくなるからです。
履行の着手の定義としては、ただ単純に準備しただけでは認められません。客観的に外部に認識できる形で履行行為の一部をすること、または履行提供のために欠くことができない前提行為をすることとされます。
そのため、売買契約の買主側が残代金を準備しただけでは履行の着手があったとはされません。仮に、残代金の支払いをしたのなら履行の着手があったといえます。
しかし、設問の買主Bは残代金の支払いはしていないとしても、残代金を準備して何度も履行を求めていたのなら、履行の着手があったとされるのです。
繰り返しになりますが、残代金を準備するなど、ただ単に履行の準備をするだけでは履行の着手があったとはされません。現実に残代金の支払いがされていないとしても、いつでも残代金を払えるようにして、さらに何度も履行を要求しているのならさすがに履行の着手と言える状態になるというわけです。
参考判例 最高裁昭和57年6月17日
Bが残代金を準備し、Aに何度も履行を求めていた場合。(26文字)
Bがしばしば履行を求め、残代金の準備をしていたとき。(27文字)
【解説】
解約手付による契約解除とはいっても、無制限に認められるわけではありません。なぜなら、相手方が契約とおりに実行しているのに、契約解除をすると相手方の損害が大きくなるからです。
履行の着手の定義としては、ただ単純に準備しただけでは認められません。客観的に外部に認識できる形で履行行為の一部をすること、または履行提供のために欠くことができない前提行為をすることとされます。
そのため、売買契約の買主側が残代金を準備しただけでは履行の着手があったとはされません。仮に、残代金の支払いをしたのなら履行の着手があったといえます。
しかし、設問の買主Bは残代金の支払いはしていないとしても、残代金を準備して何度も履行を求めていたのなら、履行の着手があったとされるのです。
繰り返しになりますが、残代金を準備するなど、ただ単に履行の準備をするだけでは履行の着手があったとはされません。現実に残代金の支払いがされていないとしても、いつでも残代金を払えるようにして、さらに何度も履行を要求しているのならさすがに履行の着手と言える状態になるというわけです。
参考判例 最高裁昭和57年6月17日
参考条文
(解除の効果)
第五百四十五条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
4 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
(手付)
第五百五十七条 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
2 第五百四十五条第四項の規定は、前項の場合には、適用しない。
(解除の効果)
第五百四十五条 当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。
2 前項本文の場合において、金銭を返還するときは、その受領の時から利息を付さなければならない。
3 第一項本文の場合において、金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以後に生じた果実をも返還しなければならない。
4 解除権の行使は、損害賠償の請求を妨げない。
(手付)
第五百五十七条 買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。
2 第五百四十五条第四項の規定は、前項の場合には、適用しない。
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