記述対策「行政事件訴訟法#9 執行停止」

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問題

問題1

【 】の中を記述してください。

焼肉店Aは、B県行政庁から営業取消処分を受けたため、取消訴訟と共に執行停止の申立てを行った。

この場合、営業取消処分により生ずる【①】を避けるため【②】の必要があるとき、裁判所は執行停止を【③】。

答え
①重大な損害
②緊急
③することができる
【解説】
行政不服審査法の審査請求にも、同じような規定があります。大きな違いとしては、行政事件訴訟法の取消訴訟では同じような場合でも、執行停止をするかどうかは任意ということです。
審査請求のときは、「重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるとき」に該当すれば執行停止は義務となります。例外規定があるので、執行停止をしない場合もありますが、それでも原則としては執行停止をすることが義務付けられているのです。また、細かい違いとしては行政事件訴訟法は申立てがあったときだけ執行停止をすることができます。

 

【執行停止規定の違い まとめ】

重大な損害+緊急の必要 きっかけ

取消訴訟の執行停止

執行停止は任意

申立て

審査請求の執行停止 執行停止は義務
※しなくてよい例外規定はある

職権 or 申立て

問題2

【 】の中を記述してください。

焼肉店Aは、B県行政庁から営業取消処分を受けたため、取消訴訟と共に執行停止の申立てを行った。

このとき、裁判所が執行停止をすることができなくなるのは【①】に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について【②】がないとみえるときとなる。

正解
①公共の福祉
②理由
【解説】
取消訴訟のときの執行停止は、そもそもが裁判所が任意に決めることができます。裁判所は「重大な損害を避けるため緊急の必要がある」としても、執行停止をしないこともできるわけです。
しかし、その上で次のいずれかに該当する場合は執行停止はできないと定められているのです。
・公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき
・本案について理由がないとみえるとき
取消訴訟の執行停止は、裁判所が任意に決めることができるが、執行停止をしてはいけない状況もあることを押さえておいてくださいね。

問題3

【 】の中を記述してください。

焼肉店Aは、B県行政庁から営業取消処分を受けたため、取消訴訟と共に執行停止の申立てを行った。

このとき、裁判所が執行停止の決定をする前後のいずれであっても【①】は執行停止の決定をした裁判所に【②】を述べることができる。

答え
①内閣総理大臣
②異議
【解説】
裁判所が執行停止を決めたとしても、内閣総理大臣が異議を述べると執行停止をすることができなくなります。
裁判官の判断に異議を出すくらいなので、本当に国民の多数に大きな影響があるような場合に使われることが想定されたものです。
この内閣総理大臣の異議は、執行停止の前でも後でもOKです。前なら執行停止ができなくなるだけですし、後なら執行停止が取消す必要がでてくるわけです。
執行停止の異議は、その前後どちらでも問題ないことを押さえておきましょう。

問題4

【 】の中を記述してください。

内閣総理大臣が裁判所の執行停止に異議を述べた。この際、内閣総理大臣は【①】場合でなければ異議を述べることができず、異議を述べるときは【②】に重大な影響を及ぼすおそれのある事情を示す必要がある。

また、次の【③】において【④】に報告しなければならない。

正解
①やむをえない
②公共の福祉
③常会
④国会
【解説】
内閣総理大臣の異議は、本当に非常事態のときにしか使えないと考えてください。まず、やむをえない場合にしか使えない規定なので、最後の手段と言えるくらいの感じでしょうか。
そして、異議を述べるときは理由を示さないといけません。この理由は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのある事情でないとダメです。
また、内閣総理大臣は裁判所にだけ理由を示してそれで終わりとはなりません。異議を述べた場合は、さらに次の常会で国会にどういう経緯であったのか、詳細な理由などを報告しなければならないのです。
裁判所への理由の提示、国会への報告の2つを押さえておくようにしてくださいね。
参考条文
行政事件訴訟法
(執行停止)
第二十五条 処分の取消しの訴えの提起は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
2 処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。
3 裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
4 執行停止は、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、することができない。
5 第二項の決定は、疎明に基づいてする。
6 第二項の決定は、口頭弁論を経ないですることができる。ただし、あらかじめ、当事者の意見をきかなければならない。
7 第二項の申立てに対する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
8 第二項の決定に対する即時抗告は、その決定の執行を停止する効力を有しない。
(事情変更による執行停止の取消し)
第二十六条 執行停止の決定が確定した後に、その理由が消滅し、その他事情が変更したときは、裁判所は、相手方の申立てにより、決定をもつて、執行停止の決定を取り消すことができる。
2 前項の申立てに対する決定及びこれに対する不服については、前条第五項から第八項までの規定を準用する。
(内閣総理大臣の異議)
第二十七条 第二十五条第二項の申立てがあつた場合には、内閣総理大臣は、裁判所に対し、異議を述べることができる。執行停止の決定があつた後においても、同様とする。
2 前項の異議には、理由を附さなければならない。
3 前項の異議の理由においては、内閣総理大臣は、処分の効力を存続し、処分を執行し、又は手続を続行しなければ、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれのある事情を示すものとする。
4 第一項の異議があつたときは、裁判所は、執行停止をすることができず、また、すでに執行停止の決定をしているときは、これを取り消さなければならない。
5 第一項後段の異議は、執行停止の決定をした裁判所に対して述べなければならない。ただし、その決定に対する抗告が抗告裁判所に係属しているときは、抗告裁判所に対して述べなければならない。
6 内閣総理大臣は、やむをえない場合でなければ、第一項の異議を述べてはならず、また、異議を述べたときは、次の常会において国会にこれを報告しなければならない。
(執行停止等の管轄裁判所)
第二十八条 執行停止又はその決定の取消しの申立ての管轄裁判所は、本案の係属する裁判所とする。
(執行停止に関する規定の準用)
第二十九条 前四条の規定は、裁決の取消しの訴えの提起があつた場合における執行停止に関する事項について準用する。

行政不服審査法
(執行停止)
第二十五条 審査請求は、処分の効力、処分の執行又は手続の続行を妨げない。
2 処分庁の上級行政庁又は処分庁である審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより又は職権で、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止その他の措置(以下「執行停止」という。)をとることができる。
3 処分庁の上級行政庁又は処分庁のいずれでもない審査庁は、必要があると認める場合には、審査請求人の申立てにより、処分庁の意見を聴取した上、執行停止をすることができる。ただし、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止以外の措置をとることはできない。
4 前二項の規定による審査請求人の申立てがあった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるために緊急の必要があると認めるときは、審査庁は、執行停止をしなければならない。ただし、公共の福祉に重大な影響を及ぼすおそれがあるとき、又は本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。
5 審査庁は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たっては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
6 第二項から第四項までの場合において、処分の効力の停止は、処分の効力の停止以外の措置によって目的を達することができるときは、することができない。
7 執行停止の申立てがあったとき、又は審理員から第四十条に規定する執行停止をすべき旨の意見書が提出されたときは、審査庁は、速やかに、執行停止をするかどうかを決定しなければならない。
(執行停止の取消し)
第二十六条 執行停止をした後において、執行停止が公共の福祉に重大な影響を及ぼすことが明らかとなったとき、その他事情が変更したときは、審査庁は、その執行停止を取り消すことができる。

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